昨日より、本格的に英語教育に関する本を読み進めています。


今日は、山田雄一郎氏の著書「英語力とは何か」の第1章を読み終えました。

英語力とは何か (広島修道大学学術選書)/大修館書店
¥1,680
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この本は、大学院に通っていた時に、私が尊敬する教授から教えていただいた本です。


山田氏の英語教育に対する深い情熱と鋭い洞察力に圧倒されながら、この本を読み勧めています。aya



英和辞書の落とし穴


今までいろんな英語教育研究者が、英和辞書よりも英英辞書を使った方が「英語力」がつくと指摘してきました。しかし、その理由について、私は漠然としか理解していませんでした。単純に英語に触れる機会が多くなるからだと解釈していたのです。


ところが、山田氏は、学生たちの翻訳の不手際は、多くの場合、英和辞書が関係していると指摘しています。つまり、英和辞書に書かれているのは、「語の定義」であって、「語の意味内容」ではないということです。このことについて、'culture'と「文化」を例にして、二言語辞書(英和辞書)と単言語辞書(国語辞書)を通して説明しています。


この説明の部分が私にとって目から鱗でした!そうか…。




culture⇒文化、精神文明 (英和辞書より)


文化⇒人間が自然に手を加えて形成してきた物心両面の成果。衣食住をはじめ技術・学問・芸術・道徳・宗教・政治など生活形成の様式と内容を含む。(広辞苑より)


かつての私を含め、生徒たちは、普段英和辞書を使って単語の定義を知るだけで、その単語の意味内容についてはほとんど深く考えることなく、英文を日本に訳してしまっているのです。
その結果、意味不明な日本語訳ができあがってしまい、私が生徒に「この文はどういう意味?」と聞くと、その訳文を作った生徒自身が「よくわかりません」と返答する変な状況が生まれてしまっていたのです。わからない


このような状況から、英英辞書を用いる利点は、英語に触れる機会(インプット)が増えるだけではなく、その語の意味内容も理解できるようになることで、その語を適切な文脈の中でアウトプットできる手助けになることだと考えられます。


culture⇒the beliefs, way of life, art, and customs that are shared and accepted by people in a particular society
(Longman English Dictionary Online - LDOCEより)



この第1章を読んで、私は今後の生徒への語彙指導を以下のように改善していくことにします。


英語と日本語の一体一対応の英単語指導で終わらせるのではなく、そこに英英辞書の内容や必要があれば国語辞典から日本語の意味内容も確認する。


さて、この本のタイトル「英語力とは何か」に対する山田氏の回答は、以下のとおりです。


英語力=(共通)基底能力+変換能力+英語形式の運用能力
(詳細については、省略します)

私たち英語教師は、今まで日本語のことをほとんど意識せず、上記公式の「英語形式の運用能力」のみに焦点を当て過ぎていました。


しかし、山田氏は、英語学習を成功させるための必修条件は、「日本語能力を活躍させること」だと断言しています。


現在、小学校低学年での英語教育の導入について世間で議論されていますか、山田氏の上記の指摘が、日本における今後の英語教育の大きな鍵になるのではないかと、私は確信しています。