2日間連続で、コロンビア白熱教室を見ているうちに、すっかりSheena Iyengar教授のファンになってしまいました。彼女は、非常に知的で、しかもひとつひとつの話が非常におもしろいです。
私たちは、日常生活において記憶をたどることが多々ありますが、それはある方向に傾いた情報を得ることになります。
コロンビア白熱教室第3回「選択日記のすすめ」
最良の選択を生んだのは、直感?それとも理性的な分析?
最良の選択のしかたについて、まず最初に、世界一のチェスプレーヤーであった、ガリル・カスパロフの選択のしかたについて紹介されていました。何が良い選択を生むのかについて、彼は次のように述べています。
「私たちは日々数えきれないほどの決断をしています。選択がうまくできたか。それはなぜか。心を鍛えれば、すばらしい決断ができるのです。」
第16代アメリカ大統領のエイブラハム・リンカーンの選択のしかたは、戦略的でした。彼は一つ一つの決断を慎重に行いました。さらに、彼の強みは、人の意欲を引き出す術を身につけていたことです。
宮本武蔵は、1612年4月13日の佐々木小次郎との決闘で有名になりましたが、彼の選択のしかたは、直感と理性を融合させていました。
では、直感と理性をどうやって融合させるのでしょうか?
ここでの選択は、どれを選ぶかというよりは、むしろどうやって選ぶか、なぜ選ぶのかに焦点が当てられています。
私たちは、日常生活において記憶をたどることが多々ありますが、それはある方向に傾いた情報を得ることになります。
記憶には、初頭効果と親近効果があります。つまり最初と最後の情報を記憶しやすいということです。
したがって、面接では、最初と最後に面接を行った人、あるいはめだった人が記憶に残りやすくなります。
文章と写真では、決断が変わるか?
抽象的な情報と具体的な情報では記憶に差が出るか?
記憶は、情報の鮮明さや入ってくる頻度に影響を受けます。
「プロスペクト理論」
リスクを伴う決定がどのように行われるかについての理論です。人間は、得の領域では低い確率を高く見積もり、損の領域では高い確率を低く見積もることで、利益より損失に重きを置く行動パターンを取ります。
上のホームページには、講義でIyengar教授が紹介された例が記されています。
利益の枠組みは、リスクを回避しようとし、損失の枠組みは、リスクをいとわないのです。つまり、枠組みが選択に影響します。
人をやる気にさせるための枠組みを利用した実例として、ロベルド・ゴイズエタ氏のことが紹介されていました(詳細は省略)。
人間は、自分が取り組んでいるものや、そばにいる人をポジティブに見る傾向があります。そして、一部の人を除いて、大多数の人が、少ししか知らないのに、それ以上知っていると思っています。例えば、政治評論家の予測はどれだけ正確か。当たったほとんどの予測が偶然によるものとしか言えないのです。
選択をするときに、脳は近道をしようとします。つまり直感を使おうとします。
では、どうすれば正しい道にもどれるのか?
何かを決断する際には、それに対して何を知っているのかを自分に問うこと。そして枠組みを変えて正反対の視点で考えてみること。
直感の役割
情報に基づく直感とは、豊富な経験から来るもの。直感に優れている人は、常に気づいたことをメモしていました。
直感とは何か?
「直観とは認識以上のものでもそれ以下のものでもない。認識の一つのパターンである。」(ハーバート・サイモン)
情報に基づく直感を身につけるには、あきらかに豊富な経験が必要です。何度も繰り返すことで、情報を分類、整理する能力が培われるのです。しかし練習だけでは身につきません。フィードバックが必要です。フィードバックを行う際には、目標をはっきりさせておくことも必要です。それが、唯一自分がどれくらい進歩しているかを知る基準になるものだからです。失敗したら、別の方法を試すように実験することも必要です。
練習 フィードバック 実験
情報に基づく直感を身につけることで得られるものは、自分の知識の限界を知る能力です。その能力は、私たちを過信から守ってくれます。
情報に基づく直感とは、理性的な選択を通じて得た情報をもとにした直感です。
どうすれば情報に基づく直感を身につけられるのか?
「選択日記」をつける。
1. 下した選択を書き出す
・どんな思考プロセスを経たか
・何がうまくいき、何がうまくいかなかったのか
・選択がどれだけ成功したか 点数で表す
2. 定期的に行って振り返る
・共通している特徴・要素が分かってくる
よい選択をすることは、情報に基づく直感を養うことで可能になります。
Iyengar教授は、最後に次のように述べています。
「すばらしいリーダーは、選択の科学をひたむきに実践する人であり、わたしたち一人ひとりにそれを身につける力があると信じています。」
さっそく、瞬間日記のアプリを使って、「選択日記」をつけてみることにします!