昨日から、コロンビア大学ビジネス・スクールのシーナ・アイエンガー教授の講義、コロンビア白熱教室を視聴して、多くの刺激を受けています。
①の誰が選択をするのかの回答は、私ではなく、私たちなのです。
コロンビア白熱教室第2回「選択しているのは本当にあなた自身?」
異なる文化について、まず初めに、2011年3月11日金曜日に起きた大地震と津波の発生、その影響で福島第一原発の冷却装置が破損し、放射能が漏れ出すという大惨事になったことが話されました。
自分が福島第一原発の作業員だとしたらどうするか?
実際、福島の50人の作業員は全員が留まりました。そして、彼らのことをFukushima 50と呼んでいます。
ところで、留まるという決断は、日本だけで見られる現象なのでしょうか。
今回の講義では、次の4つの基礎的な選択について、紹介されていました。
①誰が選択するか?
7~9歳の子どもたちを3つのグループに分け、異なった条件で同じ課題を与えたところ、アングロ系アメリカ人は、自分で選択をしたときに一番よい結果を出しましたが、アジア系アメリカ人の場合は、母親が選んだときに一番よい結果を出しました。
なぜ、これほど文化的な違いがあるのでしょうか。
アメリカ人は、独立したアイデンティティを大切にしますが、アメリカ以外の国では、人間関係やどうやったら子どもがよい結果を出せるようになるのかを考えるからです。
①の誰が選択をするのかの回答は、私ではなく、私たちなのです。
②選択は誰が支配しているのか?
人が見る物や、その解釈は異なります。
2人の研究者の実験で、日本人とアメリカ人にある絵を5秒間見せて、その後その絵について説明させたところ、アメリカ人は、大きな魚について説明しましたが、日本人は、周りの様子について説明しました。日本人の場合は、画像全体を見ていました。
このように、世界の解釈の仕方が違うのは、私たちが幼い頃から常に、誰が支配者であるかを教わっているからです。どちらの解釈も正しいのですが、その文化がどちらに比重を置いているかが大切なポイントとなります。
私たちのものの見方は、文化によって決まるのです。
③選択についての理解のしかた
7種類のソーダの選択の例が紹介されていました。いくつの選択肢があるかという問いに対して、資本主義で育った人達は7種類と答えましたが、旧共産主義で育った人達は、「ソーダを飲むか飲まないか」の選択しかないと答えました。
共産主義のライフスタイルは、どこに住むか、給料の毎月のアップなど、どの家もほとんど同じです。したがって、多くの選択肢に対して、それらは見せかけの選択肢で、本当の選択肢がほしいと、彼らは言います。
一方、アメリカ人は、小さな違いを見抜くことができます。
今日いくつ選択したか?
これは、人生をどのように見ているかに通じます。
一日でする選択の数をアメリカ人と日本人で比較したところ、アメリカ人の方がたくさん選択しました。日本人では含まれなかった、「歯を磨く」や「目覚まし時計を何度も止める」などを、アメリカ人は重要だと見なしているのです。
つまり、認知における違いが大切なのです。
選択についての理解のしかたについては、他にcitybankの従業員についての話も非常に興味深かったです。
認知の違いは、それぞれの文化の影響から来ています。
どのような選択肢を与えればいいのか?
その人のモチベーションを高めるような選択肢を与えることが大切です。
④意味のある選択をするには何が必要か?
富の分配について、スウェーデンとアメリカを例にして紹介されていました。
アメリカでは、from freedom 「○○からの自由」という考え方を尊重します。
一方、freedom to 「○○への自由」とは、フィールドを整備すること、つまり課税を意味します。
大事なことは、意味のある選択は、どちらかがどちらかを叩き潰すことであってならないということです。
自分にとって意味のある選択は、どうすれば成功するのかに影響を及ぼします。
④の意味のある選択をするには何が必要かに対して、世界共通の合意をつくることはできるのでしょうか。
お互いのストーリーを理解し、学び、その過程において、自分たちの選択肢を広げていく方がよいのです。
その例として、「価値創成」という非常に興味深い例が紹介されました。
HSCBという銀行は、自らを「世界のローカル銀行」と呼んでいるそうですが、すべてを現地にまかせています。つまりローカルレベルで仕事を行います。しかし、企業としてのコアのアイデンティティは大切にしています。
この銀行では、従業員全員に対して、他の文化を認める教育を行っています。従業員は、複数地域で働き、しかも一地域に3年間滞在することを約束させられます。そうすることで、彼らはその地域の言葉、社会倫理、そして考え方を学ぶことができるのです。それが新しいビジョンや機会をつくることに繋がっていきます。
アイエンガー教授は、真の相互理解のためには、多言語使いについて認めることが必要だと主張しています。
世界を知ることは大切です。言語を学ぶことで、人生が豊かになり、可能性と限界についてよりよく広く知ることができるようになるのです。
最後に、アイエンガー教授は、自身の経験を通して確信したことを伝えてくれました。
「思いきって一歩を踏み出し、なじみない言語に挑戦してほしいのです。そうすることで、自分も他人もよりよく理解できるようになるのです。」