今週1週間は、働いている時も、家にいる時も、ずっとcreativityについて考えていました。


では、私がなぜこれほどまでcreativityにこだわるのか?

私が教育現場で働くようになって13年が経ちましたが、この10年間の間、私は日本の学校はどうも間違った方向に向かっているのではないか、と漠然と思っていました。

高度成長期の詰め込み教育を反省し、ゆとり教育へ方向転換したにもかかわらず、 十分な準備と分析もせずに、ゆとり教育は間違いだったと文部科学省は淡々と述べ、再び詰め込み教育を復活させたのです。


ゆとり教育の目的は、子どもたちに自分で考える力をつけさせ、 子どもの創造力を養うことでした。


ですから、教育の方向性は間違っていなかったのだと、私は確信しています。

しかし、現場で働く一教員として、新たに導入された「総合学習」の指導については、入念な計画と準備が整わない状態で、強引にさせられたというのが正直な気持ちです。

この取り組みについて、どれだけの教員が情熱を持って行うことができたのかは、疑問です。


私は、年々予備校化する学校で、このまま英語教師として働いていて自分は本当に幸せなのだろうか、私の教育者としての役割は何なのだろうか、とずっと考えていました。

このような気持ちをずっと引きずっていた1週間前に、Ken Robinsonの以下の本に出合いました。


Out of Our Minds: Learning to be Creative/Ken Robinson

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この本は、私の心に大きな気づきとチャレンジ精神を目覚めさせてくれました!


この本では、私たちが、21世紀において、範囲が限られ、部分的で、しかも全く不適切な教育を維持しようとしている現状について、警鐘を鳴らしています。

Kenは、世界が複雑になればなるほど、その変化に対処するために、よりいっそうクリエイティブになる必要があると言っています。


この本は、次の3つの問いに答えることを目的としています。

①クリエイティビティを促進することが、なぜ必要不可欠なのか。


 ビジネスリーダー、政治家、そして教育者は、クリエイティビティとイノベーションを促進することが極めて重要だと強調しています。それはなぜ?

②現在、何が問題なのか?

 
 なぜ、人はクリエイティブになるために助けを必要とするのでしょうか。
 子どもはアイディアで満ち溢れていますが、大人になると、自分はクリエイティブでないと思うようになります。その結果、何が起こるのでしょうか。

③何が含まれているのか?


 Creativityとは何か?

 誰もがクリエイティブなのでしょうか、それとも選ばれた少数の人だけがクリエイティブなのでしょうか。
また、クリエイティビティを養うことは可能なのでしょうか。


この3つの問いに対するKenの回答については、後日ブログで改めてご報告させていただます。


ところで、creativityの定義は何でしょうか。

creativity is "the process of developing original ideas that have value."
つまり、「価値ある独創的アイデアを養う過程」と定義されます。


クリエイティブな人と言えば、私の尊敬する、Steve Jobsが思い出されます。


Steveは、自分の夢を実現させるには、途中であきらめないこと、そして「強い情熱」を持つことが大切だと述べています。


この「強い情熱」を持って、自分の才能を最大限に活かすことができるような教育をすることが、今一番必要なのだと、私は思います。

ところが、現在の日本の教育は、これとはまったく正反対のことをしているのです。


この本によると、2007年に出たユニセフの「先進国の子どもの幸福度調査」の中の「孤独だと感じる」子どもたちの比率は、ほとんどの先進国では5%から10%の間でしたが、日本では29.8%という結果になっています。


オランダではわずか2.9%でした。なぜ、このような違いが出てくるのでしょうか。

オランダ在住の教育研究家であるリヒテルズ直子さんによると、ヨーロッパでは、お互いに得意な分野は違っても協力してお互いにないものを補っていこうとする教育の理想が定着しているそうです。

一方、日本では自分が不得意とするところを克服するのに多大なエネルギーを注き、国公立大学に○○名合格させることが学校の目標になってしまいました。その目標を達成するために、習熟別クラスを導入し、教育に格差を生じさせているのです。


オランダの子どもたちが、さまざまな才能を引き出され、生き生きと大人になっていく一方、日本では、大人も子どももストレスをため、学力以外のありとあらゆる可能性に満ちた才能を育てられないまま、生きなければならないことに、私は怒りを感じます。


佐藤学さんも、
能力や個性の差異にいかに対応するかではなく、能力や個性の差異を生かした学び合いをどう創造するかを問うべき
と強調されています。
(この詳細については、以前ブログでご報告させていただきました。)



Ken Robinsonは次のように言っています。
「教育は、将来の準備のための、直線的な過程 (linear process)ではありません;
 教育とは、現在において最高の生活を送り、最高の未来を創造することができるよう、才能と感性を磨く過程なのです。」



ここまで書いて、私のミッションがようやく明確になりました!

つまり、「教育において子どもたちのクリエイティビティを養うこと」。

では、どのようにすれば、子どもたちのクリエイティビティを養うことができるのでしょうか。


これについては、次のブログで、2つのアプローチでまとめる予定です。