その先に突き進み続ける事に躊躇いがあったのは間違いなかった。

しかし、あの時の俺にはその道しか見えていなかったのかもしれない。

その中でも、何となく踏み込んでは行けないのだと感じていたのだと思う。

ただ今となっては、何故踏み入れたか自分の中ではっきりと説明が付く。

そこを目指すのには理由が在り、目的が在り、何か特別な事さえ得られると思っていた。

最初から分かりきっている物事でもいいが、俺には物足りなさを感じる性なのだと思う。

何かとてつもない事を体験し感じ取りたかった。いわゆる怖いもの見たさみたいなものが無意識レベルで駆り立てたのだと思う。

その先には、何かとんでもない事が待ち受けているのは間違いないと思っていた。

俺は次第にその先の光景をイメージするようになり、きっとそのイメージ通りの光景を目の当たりにするのだと確信するようにさえなっていた。

俺が作り上げたイメージはやがて自分の中で絶対的なものとなっていた。

今思い返すと、何かにとりつかれているようであったことを思い出す。

あの時までは、あそこまで俺を突き動かす原動力は何であったかは分からなかった。



やがて事を終えた日、俺は安心し一気に気が抜けた。

その晩、周りも静かになった頃、俺は自然と今まで自分のやってきたことを想い返していた。

そして、道の果てに到達し、そこから眺める景色を目にする。

そして思った。

自分で期待していたものはいったい何だったんだろうかと思う。

そこで得ようとした物は全くなく、感じるであろうはずの達成感すら無い。

そこには何も無かった。何も見えなかった。

そして、何より自分がいないことに気付いたのであった。



今まで、自分と言う存在を自分が認めていなかったのだ。

そう考え始めると次第に自分の中で変な現象が徐々に起き出した。

あの感覚は今でも忘れない。

最終的には灰の様な状態であった。

そして、そこには一切の感情は無かった。

完全なる抜け殻である。

俺が俺でないような感覚を味わうと共に、抜け殻から出た俺は何も無い灰色の空間に吸い込まれるように同化した。

その空間はものすごく静かな場所であった。そして何も感じることの出来ない感じがしたのであった。

そしてその空間は何も意味を持たない空間であった。

その間、しばらく放心状態に近かったのだと思う。

何か言葉では顕せないような現象が頭の中で起きていた。

それからの俺はそのような体験後から一種のトラウマ地味たものを一年以上引きずっていた気がする。

世間一般に「うつ」と言う物が存在するが、それに近い物が自分にもその時くらいに患っていたかもしれない。

もう二年前の話しだから今振り返ると何となくそうなんじゃないかと思うことが分かる。

これは俺自身が求めていたことなのだと。

俺は今までの自分という存在に終止符を打ったのだと思う。



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