判決が出るまでの三日間、ルートヴィッヒは何かしら抵抗することもなくただひたすらぼんやりとしていた。


三日目-研究所のドアが閉まる音で、ルートヴィッヒは顔を上げた。


「……いよいよ……制裁の、時……」


きっと判決は、一番重いものだろう。ルートヴィッヒはそう考えると、目線を机の上に移した。


机の上には、自分の作った機械-小さなネジマキを付けたかわいいニセモノ神様が、自分を見ていた。


「お前もきっと、こんな開発者<マスター>の手にいつまでもいるのは嫌だろう……」


ルートヴィッヒはやつれきった顔で『カミサマ』を手に取ると、ゆっくりと背中に付いたネジマキを回した。


ギイギイと音をたてて、ネジが巻かれる。やがて、限界までネジが巻かれきった。


ルートヴィッヒはそっと『カミサマ』を机に置くと、口を開いた。


「『カミサマ』。お願いだ……」


このまま世界の餌となるのなら。


法廷で裁かれ、殺されると言うのなら。


それなら、機械仕掛けのその手で-


「俺を、殺してくれ。」