助手に裏切られ、兄を亡くし、そしてライバルにまで見放された。


すべてを失ってしまった彼は、兄の遺体を抱いたままそこから動けなかった。


「……こんなはずじゃ……なかった……」


彼が夢見た世界は、こんな世界ではなかった。


人類すべての願いが叶い、平和で幸せになった三次元を夢見た。ただそれだけなのに-


それなのに-


「……なぜ俺は、こんな絶望の底にいる?」


自分が作ったものは、ただの殺人用具にしか過ぎなかったのだろうか-


『この人殺し!』


フェリシアーノの言葉が、いやに脳裏に響く。気づくと、ルートヴィッヒは泣いていた。


「俺はただの……人殺し……」


『せいぜい、過去を悔いて懺悔することですね。もう、遅いのでしょうけれど。』


ローデリヒの冷たい目と口調が蘇る。彼は更に、遺体を抱き寄せた。


-どこで、歯車は食い違っていたのだろう。一体いつから、自分は過ちを犯していたのだろう-


「っ……すまないっ……」


すまない、みんな-


そのままルートヴィッヒは、声を押し殺して泣いていた……