マボロシの鳥 | 色葉巧房*創作絵・アートめぐり

マボロシの鳥

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穏やかっていうか、ボンヤリです。

ゆうべ、「マボロシの鳥」の絵本を製作した藤城さんの特集がやっていたので
リアルタイムで見た後、巻き戻してまた見ました。
テレビの2度見って久しぶり。
影絵展、行けば良かったなぁ…。
今年の初夏は見たい展示てんこもりだったなぁ。

影絵はやはり影絵で見るのが一番美しいよね。
絵本で見たら切り絵とあまり変わらないというか
切り絵だってもちろん凄いんだけど
光の透明感やムラは紙に印刷された染料や顔料では表現できないものな~。

絵本版「マボロシの鳥」のあとがきに
太田さんが「影と闇とは違う」って書いてたのが印象的で、
番組でも最後にそこを音読されて
グワッときました。
グワッて。
「心をつかむ」っていうより、「心臓わしづかみ」って感じ。



小説版の装丁も好き。
書体もいい!



遊び紙の遊び心にもギャフン。
太田さんは色んなことを常に
対照的な視点から見比べているね!
原作本は短編集。
もくじ、見えませんね。


 


グリム童話にありそうな、古い外国のお姫様や魔女が登場する「茨の姫」や「魔女」、
寄席で噺家さんがしゃべっているような口調でつづられた「人類諸君!」、
昭和の文学のような「冬の人形」、
携帯小説みたいな語り口のファンタジー「奇跡の雪」、
誰でも知ってるSF童話「銀河鉄道の夜」と「星の王子さま」が出会ったような
「地球発……」など、
同じ作家が同じ時期に書いたとは思えないような多彩な読み味の短編集です。

私が特に好きなのは「タイムカプセル」と「魔女」!
タイムカプセルは中学生の国語の教科書に載っててもおかしくないくらいの物語です。
主人公の青年時代から老人になるまでの間、彼の戦争の記憶と子供たち…、
少ないページ数で長い時間が流れていくのですが、壮大です。

挿絵が全く無いのだけど、行間に挟まれているちょっとした印が
物語ごとに内容に合わせた違うデザインなのも細やかな楽しみ。

私は本を読むのがべらぼうに遅いのですが、その大きな原因は
「自分が挿絵が描くとしたら、このページで、こうやって描くな~」という
妄想をいちいちしているからなのです。
この本は半年はもちます。


マボロシの鳥/太田 光
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