原価はゼロだが、労力はハンパない。

 

 

当主は、施設の管理棟に通年居住している。冬場の暖房は、薪ストーブが中心だ。燃料となる薪は、開発のために間伐した樹木を利用しており、いわば原料は豊富にあるわけだが、それらを暖房に使える『薪』にするためには、それなりの代償が必要だ。

 

まず、倒した樹木の根っこや枝をチェンソーで落とし、丸太に切り揃えた上で軽トラに積み作業場まで運搬する。そこで薪ストーブに入る長さに玉切りし(当施設では約35cm)、さらに薪割機で割って薪棚に積み上げ1年以上乾燥させる。このように、たしかに原価はゼロなのだが、薪の準備には相応の手間と場所を食う。

廃棄物となる根っこや枝なども嵩めばかなりの重量となり、これらの処理は重労働だ。

 

一般に、薪に適した樹種は「硬い広葉樹」といわれている。クヌギやナラなどが代表だ。当地に多いのはシラカンバ(白樺)。シラカンバは火付きはよいが燃焼が速く、火持ちが悪い。

 

 

▲ 開発のため重機で倒しまくった樹々。取り急ぎ建設作業の妨げにならないように集積したはいいものの、この山から1本1本丸太を切り出す作業は、まさに茨の道だった

 

 

▲ 丸太にした樹は軽トラに積んで作業場まで運搬。細い樹であれば積み込みは人力のほうが正確で早い。…が重労働である

 

 

▲ 玉切りしたものを積み上げていく。積雪しても崩れないように、慎重かつていねいに積まないと、後で後悔することになる。なかなか他人に任せられない作業だ

 

 

▲ 薪割り機は薪づくりの必需品。マサカリはカッコいいが、とてもじゃないがやってられない。ミナトワークスの電動薪割り機は100Vで5トンのパワーがある。当地の樹の太さならこれで十分だ

 

 

▲ 割った薪を積む。当施設ではガレージにラックを設置して薪棚としている。隙間ない積み方に、当主の粘着質な性格が顕れている