トランプがイエメンのフーシ派にミサイル攻撃を命じたという報を聞いて、口先だけで収まっておれば良いものを、ついに殺人にまで手を染めたかと溜息をつく。いきさつはあるものの、例によって衝動的な決定で(なので英国軍は参加しなかった)、そんなことで殺されるフーシ派住民が不憫でならない。



 上図は公表された情報に基づく16日の両軍配置図で、とにかく塗りつぶしづくしのロシア国境地図でウクライナ軍がどういう戦闘態勢を取っているのか疑問だったが、参謀本部公表の地図と照合すると、どうも稜線を利用した野戦築城をしているようである。どのくらいの準備をしていたかは定かでないが、現在までの所は防禦陣地でロシア軍を防ぎ切っているようだ。



 稜線はこんな感じだが、我が国のそれと比較にならないほど緩い勾配(1~2%)である。ただ、高度差のある場所でのドローン作戦はあまり聞いたことがない。ドローンの攻撃距離を平均2キロとすると高低差は20~30mある。

 運動エネルギーも翼のないドローンは20m余分に上昇しなければ届かない。これは相応のエネルギーを喰う。有効距離も高台にいる方が長い。アウディウカにしてもウフレダルにしても高低差のほとんどない場所での戦いだった。一つ例を挙げるとすればリプシの戦いがあるが、ここは周囲を高台に囲繞されていた。ロシア軍の侵入は止まり、オートバイで逃げ帰るより他になかった。あまり成功していないノベンケからのロシア軍の侵入もバシフカは両脇を高台に挟まれている。



 もっとも映像ではドローンはもっと高い高度を悠々と飛行しているので、数十mくらいの高度差はあまり問題にならないかもしれない。ドローンの弱点は携行エネルギーの少なさで、特に成形炸薬弾を積んだタイプの飛距離は短いと考えられる。操縦者としては高低差がない方がやりやすいだろう。この陣形では高台にあるウクライナ軍のドローンの方が同じ性能ならより遠くから攻撃でき、リーチが長いということを指摘するにとどめる。本当かどうかは経過を見れば分かるだろう。