ウクライナ戦争について10日の覚え書きは保留したが、理由は10日から現在まで戦況の急変があったことによる。ロシア戦車の撃破数が急増しており、ウクライナ参謀本部の報告が正確ならばこの3日間で100台以上の戦車が撃破されたことがある。ここ一週間ほどは日数台の撃破に留まっていたことを見ると、これはかなりの数である。

 この所は横ばいになっていた装甲兵員輸送車の破壊も急増しており、これは装甲を必要とするかなり激しい戦闘が行われたことを示唆する。報道ではアウディウカでロシア軍の大攻勢があり、1万人規模の大軍が投入されたことが伝えられているが、報告は撃破した場所については伝えていないため、ここでの戦闘によるものかは不明である。

 航空機については先に友軍の誤射で撃墜されたSu-35戦闘爆撃機については評価が修正され、元の315機に訂正されたが、直後に1機が撃破され、現在のロシア航空機の損失数は316機である。

 ロボティネを抑えたウクライナ軍はトクマクを重砲の射程に捉えたが、これにより早速鉄道線路が砲撃を受けている。弾薬輸送列車が撃破され、補給の途絶えたトクマクのロシア軍は敗北の危機にある。ひょっとしたら冬まで持たないかも知れないが、メリトポリとアゾフ海はまだ遠い。なお、セバストポリを攻撃されたロシア海軍は艦隊をノボロシスクに撤退させ、艦隊は黒海の制海権を喪失している。

 パレスチナでハマスが決起し、ヒズボラと呼応してイスラエルと双方に数千人の犠牲が生じているが、相手は戦い慣れたイスラエル軍である。当初は油断があったがすぐに恢復し、ガザ地区を包囲して反撃に転じている。が、20年近くも逼塞していた中東のアラブ勢力がここに来て攻勢に出たことにはウクライナでの戦闘の影響が少なからずあるだろう。

 CNNはハマスの背後にはイランがあり、軽工業中心のガザ地区で同組織がイラン軍事産業の下請けをしていたと報じたが、中東戦争のジャンク兵器を再生して攻撃に用いているというのはやや眉唾で、実のところはハマスの武器はウクライナ戦争でダブついた北朝鮮製砲弾など二線級の武器と思われる。これらは昨年まではウクライナ軍が用いていた。

 我が国では鈴木宗男氏が訪露したが、帰国した鈴木氏を所属政党の維新は除名処分にしている。この件はこれで終わりで、こういうことは大戦争の最中には時折あることだが、過去の例に漏れず、この事件が両国の外交関係に及ぼす影響は皆無だろう。