社長は往生際悪く会社存続の道を探っているようだが、よくもまあ、止めど尽きせぬ悪事の数々がまだ続いているビッグモーターである。件の記事を読む限りでは、これは修理に出すことすら危ない。
「訴状によると、女性は2022年8月、所有する高級外車「アウディ」のエンジンがかからなくなったため、同店舗に修理を依頼した。女性が故障の状態や修理内容を聞くため店舗を訪れたところ、従業員は「修理には多額の費用がかかる」「アウディに価値はない」「廃車にするしかない」などと説明。中古車の購入を強く勧められた(上掲記事引用)。」
調べればすぐに分かることだが、この会社は外車はほとんど扱っておらず、乗っているのは経営陣だけで修理のノウハウもない。BOSHEの診断装置さえなさそうで、普通はこんな所に外車の修理は出さない。エンジンが掛からなくなったのなら、行くべきは正規ディーラーである。
先月のベンツを売ったら水没車といちゃもんを付けられたケースは買い取りで、換金だけが目的だからビッグモーターでも良かったが、この案件は修理で、本来なら店舗側で断るべき事案であった。
私も車検場の近くにビッグモーターがあるので、光軸調整で引っ掛かったら頼もうかと思っていたが、行かなくて良かったとつくづく思っている。
この会社のいちばんの問題は契約上の信義則など社会一般で通用しているルールを守らないことである。クルマを買い取って現金を振り込んだなら危険は移転しており、後で損害賠償など論外であるし、一度合意した契約金額を勝手に変更する、修理代を水増しする、店頭やネットで掲示した総額と金額が違うなど、契約遵守の観念さえないのかというものである。これでは安心して取引できない。
こういうものは、社会一般の通念では「詐欺」という。表明した内容と内心に齟齬があり、内心はごく平明に見て、これは契約しないだろう、実現できないだろうといったもので、虚偽の事実を伝えることで相手方を錯誤に陥らせるものだからである。報道を見るに、この会社には従業員ぐるみで詐欺(deceit)体質が染み付いているとしか思えない。
社員にとってはお気の毒な話であるが、自業自得ともいえる。会社は腕の悪い経営者とデロイトトーマツの差配で資産をバラバラにして切り売りするしかなくなっている。派手なだけのコンサル会社の知恵などこの程度であるし、出来の悪い時間稼ぎと分かり切っていた話でもあった。
※ 在庫車をオークションに出して糊口を凌いでいるつもりらしいが、オークネット自体ヤラセで、カラクリが露骨すぎるので自社落札せざるを得なくなり、台数の割にはあまり稼いでいないようである。そもそも報道によるとオークション自体オークション会社と結託した犯罪なので、デロイトトーマツには告発義務があるはずである。告発しないということは二流のコンサルということで、コンサル会社としてのデロイトトーマツの名にも傷が付くことになる。
※ 正常な知能があったなら、デロイトは手を引くべき案件だと思う。
株式会社という形態において、清算における従業員の担保の引当は会社財産である。経営に協力することで、自分らで自分の担保を毀損する自損行為に精を出しているのだから、この会社の従業員は一人残らず、真っ当な市場価値は労働市場ではないのだろう。というより、報道により彼らの価値は日に日に下がっている。ビッグモーターでの社歴は汚点にしかならないだろう。
※ 無能と迷走経営で会社がなくなれば従業員には何の補償もなく、分け前もない。
この会社を救う道はただ一つしかない。それは従業員自身が立ち上がり、団結して会社にこれまでの奉仕で積み上げた財産から、彼らの分け前を要求することである。それで会社はなくなるが、悪は一掃され、彼らと彼らの家族は新しい出発をすることができる。
まずは目黒の兼盛屋敷に乗り込んで労働協約書にサインさせることから始めるべきだろう。その際に多少の脅し透かし、器物の損壊や家屋の破壊、軽度の暴行に監禁、威迫や脅迫があったとしても、会社が彼らに行ってきたこと、社会に対するこの会社の害悪を考えれば、その程度のこと、やむを得ないのではないか?