先のヒガシの会見からジャニーズのキャンセルドミノが続いているけれども、背景にはこういった者の暗躍があると思う。
ポール・クルーグマンは10年ほど前にゴールドマン・サックスやマッキンゼーの上級社員を評して「右に倣えのバカばかり(意訳)」と評したけれども、これは独創性とか論理的思考といった学者的資質がないという意味で、一般的には彼らは有能な人々である。デロイトトーマツもそうだ。MBAの経験主義で筋道もへったくれもなく、一部は呪術的要素も含んだ、「みんながそうしているから」で物事を進めるのは同地ではプラグマティズムという(草葉の陰のパースが泣いていると思うが)。
「キリスト教徒は地獄をつくりだすことによって救済への不安を生み(上掲引用)」
これはキリスト教ではなく仏教だと思うが、そんなことは問題ではない。先の会見は私は二点問題があったと思うが、対策としては悪くなかったと思う。
売り上げ1年間タレント分配の提案も、ジャニーズがジュリー藤島100%所有の会社であることを見れば、かなりの自己犠牲を含んだもので評価すべきと思う。ジャニーズ事務所の株式総額は1,000万円しかないが、ファンクラブの収入や出演料など総額は1,000億円を軽く超える。それを全て従業員に還元するというのだから、そんな企業がどこにあるのだろう?
※ もちろん素直に受け取ってはいけない話である。が、「出演料だけ」などとしょぼいことを言っていては助かるものも助からないだろう。
先の会見については誤りは二つあったと思う。一つは総株主のジュリー藤島がジャニー氏から相続した遺産の総額を明らかにしなかったこと。これに十分な額があれば財団を構成して賠償責任を個別化でき、少なくとも問題が会社に波及することは免れる可能性があった。これにヒガシが「会社としての」ジャニーズ事務所の求償について言及すれば対策とすれば完璧であった。
※ ほか、ジュリー藤島の100%株式保有も間違いとして挙げる者もいる。彼女が性犯罪の共犯ならそれもありだろう。
もう一つは「ジャニーズ」という社名を変更しなかったこと。非難の全体を見れば賠償財団よりもこちらの方が批判を受けており、賠償1:社名9くらいの割合である。性犯罪者の名前を社名に残し続けることにつき、納得できる説明は会見では得られなかった。
※ そもそもヒガシも井ノ原も困っていた様子だった。
ヒステリックでバカバカしい非難の様子を見て、さすがに被害者団体さえ契約解除を留保するように要望書を出したけれども、先にも述べた通り加害者はすでに故人で、少なくとも罪については、故・加害者と会社や現経営陣との間には連続性は観念できない。故人のジャニー喜多川と法人としてのジャニーズ事務所は別人格である。法人格否認の法理を適用するような事情も聞いていない。
現在の役員や幹部がジャニー同様、訴追されるべき懲役30年の罪人ならともかく、現在のジャニーズに対する批判には「同じ名前で出ています」以外にまともな理由がない。犯罪として論ずるなら「ファクト」が欠けている。ファクトのないものに責任はない。
これはクルーグマンが当たっている。彼らが大口顧客としていたような人々はおしなべて「ばか」なのである。ばかにはばかの言葉がある。裁判で争うのは時間がかかりすぎる。そしてその「ばか」に合わせることで巨大エンタメ産業になったジャニーズなのであるから、私は狂乱じみているし、バカバカしいと思うけれども、上述の二点(ジャニー遺産と名前)についてはもう一度検討してみてはどうだろうか。