ひろゆき氏については、我々の世代の評価は大方決まっていますが、Z世代以下の若い世代はそうではなく、「論破王」とか、「いつも正論を言う人」というもので、彼の幼児本まで出ている有様ですから、それについては聞かれれば答えることとしてひとまず措きましょう。彼の論説は画像をクリックすれば読めます。このブログのルールです。
件の論説もコメント欄を読めば大方の反論は出尽くしていることから、私としては異なる視角を提供しましょう。まず指摘できることは人に対する評価とは彼が言うほど簡単ではありません。試みに、私が使っている方法をご紹介しましょう。
明日葉や、読みて怒れし掲示板
※明日葉(あしたば)
今日摘み取っても明日には葉が出るとの意、春の季語(広辞苑)。
即興で作った川柳ですが、不特定多数が閲覧できる場所に挙げるということは批評を期待するという意味でしょう。だから書いたことそれ自体に色々言われること自体は決して避けてはいけない。
そう書くのは、以前小説の査読をしていた時に、「自分の作品を批評してくれるな」と一切の感想お断り、指摘した内容はすべて誹謗という人がいたからです。これは論外で、付き合いを避ける以前に人と付き合う資格がない。
論外でないものは二つに分類します。
①「ごもっとも」、「心が狭いんじゃない」、「ひろゆきの手先かよ」といった句それ自体の感想。
②「読みて怒れし」は「読んで怒る」の方が良い、「明日葉」は「敗残者」の方が良いといった、語句の選定に対するご意見。
①とは対話して議論を進めます。②については「敬して遠ざける」としています。語句の選定は作者の専権であり、そのことに無遠慮な相手は相手をコントロールする傾向が強いからです。こういう相手とは建設的な議論は望めません。
実際は①と②を区別することは上記ほど易しくなく、最初は①で入ってきて②に転化することもあるし、②をたしなめれば健全な議論ができる例もあります。明快な基準を持っていても、初対面や数回の面談だけでは、断定的に判断することは難しいということは書かなくても分かるでしょう。
で、ひろゆき氏の場合はどうか、挙げた文章では以下のようなものがあります。
③ 距離感が近すぎる・・・初対面からグイグイと話を切り込んで
④ 偉そうにしている・・・自分が間違っていないかのように、偉そうに堂々
もう少し敷衍すれば、以下のようなものも彼の基準といえます。
⑤ アドバイスは当たり外れがある・・・N/A
⑥ 客観的に正しいアドバイス・・・押し付けでなく、いい距離感で
⑥は逆は必ずしも真ではありませんから(詐欺師などはどうでしょう)、これは彼の思い込みにすぎませんが、⑤にしても判断に時間がかかることがあります。
③、④は主観の問題で、客観的な基準とはいいがたいものです。例えば九州人は押しの強い傾向がありますし、言い方が断言調でやや聞きにくい地域もあります。判断する自身にも生まれ育った環境による特徴があります。
主観であったり、逆が成り立たないということは、その主張に欠陥があるということです。欠陥のあるアドバイスに従い、人を切り続けた結果、気が付いたら誰もいなくなり、悪い場合は陰口など叩かれ、孤立して自身の環境がさらに悪化する可能性さえあります。
⑦ 人が近づくのは、(自分と)交際してメリットがあると思っているから。
ひろゆき氏でもたぶん認める真実だと思いますが、メリットの内容は様々です。金銭や人脈、ビジネスのほか、精神的な充足、情交関係や承認欲求など無数の選択肢があります。判断する前に相手が自分に何を求めているのか、自分の持つ資産をチェックして整合性を探ることが有益です。
私自身は経済的な関係やビジネスは長続きする友情とは考えないことにしています。概して金銭に換算できるようなメリットは友人作りには向きません。「正義感の押し売り」にしても、その背後に何があるのか検討する時間を持つべきです。
このコラムは最初に挙げた通りメモ書きで、完結されることが目的ではありませんからこのくらいにしますが、例えば以下のような例はどうでしょうか。
A男はB子が好きだったが、B子はC男のことが好きになり結婚してしまった。A男は破綻を望んでいたが、B子から「今後ともお友達でいましょう」と言われた上、Cの子供が生まれることを告げられた。B子を諦められないA男は?
「とっくの昔に振られているのだから素直に諦める」が模範解答だと思いますが、このありがちな例でA男、B子、C男と立場を入れ替えながら対処法を検討してみましょう。検討するには情報が不足している嫌いがありますが、「諦める」以外の選択肢が存在する可能性はゼロではありません。
彼の文章に比べるとだいぶ長いのですが、今回はここまで。
タイトルを「年長者の責任」としたのは、適当なアドバイスに従って、若い読者に選択を誤って欲しくないからです。
<まとめ>
1.①、②は議論の作法について、議論を成立させるためには相手とルールを共有する必要がある。私の判断の基準。
2.③~⑥は属性の問題、ひろゆき氏は「正義感を押し付ける人」には一定の属性があるとするが、逆は真でないから誤りである。
3.相手の立場に立って考える。状況をシミュレーションしてみる。
<つづく>