い、いきずまったワケじゃないんだから!!
いきずまったんだな。
とりまがんば。
なんていうか…、がんばれよ。
メェー!あろーあろー!!
メェー!であろー!であろー!
ウォウ、イェイス
変態が迫る過程で5題
01 いつの間にかなくなる衣服、主に下着類
「またお前らか。」
「なんで私!?」
座り込んでいる我等が主をこれでもかというほど上から睨み付ける。
今は黒くて長い、座り込んでいる奴の前髪がいちいち、うっとおしい。
出来るだけ早くツカツカと音を立てながら近づき、しゃがみこみ、
長い前髪を乱暴に分けて、顔が見えるようになってからほっぺを引っ張る。
「いだだだだぁあああ!!何!何!!」
なんだかどこのマンガだというほどよく伸びるほっぺだ。
ていうか思ったより硬い。
手を放すと「グェッ!」と声を上げながら床に倒れこんだ。
倒れこんだせいで、いつもかぶっているミニハットが曲がった。
「痛い!痛いよ!何!何があったの!!」
しばらく倒れこんだまま勢いよく起き上がった。
ほっぺをさすりながら涙目でこちらを見上げてくるが、
はっきり言って今の僕には逆効果だ。
どの口がいうかと言いたい所を必死に抑える。
自分で顔が引きつるのがわかった。
たぶんほほの筋肉は凄い事になっているだろう。
「怖い!怖いよ!流弧!!」
やっぱり顔はすごいことになっていたのだろう。
結構マジで引かれた。
自分の首にへばりつく髪を一まとめにして、後ろへ放った。
若干まだ首にへばりついていて余計にムカムカしてくる。
まったく意味が分からないという顔で、
挙句の果てには変な声をあげている我等が主に、
我ながら凄くいい笑顔で声をかけた。
「琥珀の奴呼んでこいよ。」
「…はい。」
一瞬時が止まった風に感じたが、
みるみる顔色を変える我らが主は面白い。
そして僕がつねったほっぺはまだ赤い。
綺麗に指の跡がついてる。
あわててほっぺをさすりながらも2階へあがる我らが主を眺めながら、
頬の筋肉を緩め、我ながらすごい形相であろう顔で
どうあいつらを締め上げてやるか考えた。
02 常に後方より感じる不気味な気配、及び視線
リビングでカラフルな頭がわちゃわちゃ騒いでいる、
テレビの中もカラフルな頭が騒いでいる。
なんだか最近、自分の家系の
基本黒い頭のほうがおかしい気がしてきた。
キッチンの端にある冷蔵庫を開けようと思い、
冷蔵庫の取っ手に手をかけた。
するとだ、
なぜかとても残念な負け犬オーラがまとわれた視線を感じた。
おそるおそる振り返ってみると、
一気に風が動いた。
そしてすぐわかった。
視線はもちろん、人間のものだったらしい。
頭隠して尻隠さずというが、この場合、
身体隠して、耳隠さずだろうか。いや、服?
「おーい。」
控えめに紫の大きい猫の耳に触れようとしながら声をかけると、
びゅっと音がしそうな勢いで逃げられた。
しばらく手を伸ばしたまま止まっていると、
おそるおそる、紫の猫耳頭が出てきた。
しばらく見守っていると、服か何かに鎖が当たったのだろう。
ちゃりんと音がし、またびゃっと逃げられた。
もうなんかめんどくさくなってまた出てきた猫耳をつまんでやった。
意味不明な声を上げながら抵抗する紫の物体。
これまたカラフルな無駄にでかい猫を捕まえてしまった。
おとなしくなったため、特に何も言わずに耳をつまみながら冷蔵庫を開けると、
またとても残念な負け犬オーラをまとった視線を感じた。
しばらく考えた後、スプーンとプリンを手に持つと、
キラキラした視線にかわった。
「はい。」
出来るだけ優しく声をかけながら渡すと、
凄い勢いで食べ始めた。
「おー」とかなんとか声を上げながら見守っていると、
食べ終わったらしい。
スクッと立ち上がってまたすごい勢いで逃げていった。
まぁ、別に気にしていなかったのだが、
この日から毎日視線を感じるようになった。
これまた変な猫を餌付けしてしまった。
03 帰宅後に覚える室内の違和感、しかし理由はわからない
「つくづく思うがお前らは何でそんな部屋に居れるのか知りたい。」
いつもみたく姫と琥珀を部屋から引き摺り下ろし、説教をしていた。
姫も琥珀を全力で抵抗してきたが、
晩飯作りのために持っていたフライパンを見るとなぜかおとなしくなった。
俺がせっかく晩飯を作ろうとしていたのにだ。
姫は帰ってきてすぐ羞恥心のかけらも無く、
服を脱ぎ捨て、たたみもせずにぐだぐだしはじめた。
洗濯に出す服と、直す服とでいちいち分けてたたんでまでしてやったのにだ。
部屋にポーイと投げ捨て、アホ面で帰って来た。
手元にあったおたまをアホ面に向かって投げた。
そして次が琥珀だ。
琥珀も同じく脱ぎ捨てていったはいったが、
姫みたくたたんでやったらちゃんと持っていったのでよしとしよう。
しかし次だ。コンビニでお菓子を買ってきたのはいい。
お菓子がおいしいのも分かる。
だがしかし今の時刻。
晩飯前。しかも俺の前で食うとはいい度胸じゃねーか。
しかもゴミはそのまま。
捨てろというとなぜか自分の部屋に投げ込む。
姫と一緒に部屋から引き摺り下ろして正座させた。
そして今この状況だ。
この2人の部屋は見るも無残な姿で、
とても人が暮らせる場所ではない。
最初に流弧が2人部屋を全力で拒否してきた理由が分かった。
前の姫の部屋は、あちゃが居たためまだ少しマシだった。
だが今は…。
フライパンを握る手に力が入った。
2人が変な悲鳴を上げた。
「ごめんなさい、ごめんなさい」と謝罪してくる2人を見下ろしながら
なぜかは知らないが自分の部屋を思い出す。
いや、自分の部屋というより、自分と蒼羅の部屋だが。
無駄に広い和室があるため、そこをもらったのだ。
まぁ、いい部屋だ。
しかし最近なぜか違和感を感じる。
蒼羅と自分のスペースがあまりにも置いてるものが違うからだろうか。
いや、それは前からだ。
じゃぁなぜだ?
別にこいつら2人みたく汚くなってきてるわけでもないし…
俺は物が少ないからな…。整理しようも無い。
蒼羅は持っている物こそ多いが、整理しているのでまぁいいだろう。
けど、最近またなにかが増えてきたような…。
ふと心当たりが思いつき、
早歩きで和室へと向かい、中をあさった。
その間も姫と琥珀はビクビクしている。
そしてしっかりとした確信が出来たので、
優雅に抹茶を飲んでいる蒼羅を無理矢理抱えあげてバカ2人の横に並べた。
「なにするんですか!」
なんだかぷんぷんと怒っていらっしゃるが、
「お前、勝手にいろいろ買っただろ。」
ずいっと顔を近づけて言うと、
目をパチパチとさせ、固まられた。
しばらくすると、みるみる赤くなり…
「勝手に漁りましたね!!」
墓穴を掘った。
「やっぱりかよ!!最近なんかおかしいと思ったんだ!!」
その日は久しぶりに蒼羅を説教した。
04 一人、また一人と減る知人、私の顔を見て悲鳴を上げる者数人
自分の顔がめんどくさいと思うのは、
まぁ、よくあることだ。
たとえば、
「え、もうそっちいってよ!!うん!!」
「え、ちょ、蒼羅こっち来んの!?」
今とか。
姫様の祖母は温泉が好きらしい。
だからよく温泉に入りに行く。
もちろん私達も引き連れて。
私も温泉は好きだし、まぁ、いい。
けれども、温泉といえば、銭湯。
まぁ、旅館などもあるが。
とりあえず、銭湯だ、銭湯。
銭湯は男か女かきっちり分けられている。
いいと思いますよ?別にいいんですよ?
「…もう、分かりきってた事ですし…、5人で入っていらっしゃったら?」
けどそれが迷惑な奴も居るんだよこんちくしょうが。
一応男ですよ?いや、男なんですよ?胸ないですよ?
だから、男湯に入るじゃないですか?
いや、入ろうとするじゃないですか。
周りの従業員さんに止められるんですがどういうことなんでしょう。
流弧も時々疑われますけど、声が完璧に男ですし、
離してもらえるんですが…。
私、なーかなか離してもらえないんですよねぇ☆
それに入れたら入れたで悲鳴飛び交いますし。
こちとら混浴ぐらいしか入れませんわよ。
というわけで、今も銭湯に行こうとしている姫様たち。
で、案の定、私という壁があるので御座いますよ。
結局はいっつも置いていかれるんですけど…
最初のほうは誰か残ってくれてたんですよ?
けどもう最近は…ねぇ?
怒りに身を任せたら紅蓮の背中蹴ってましたわオホホホ
「…。」 「…。」
無言のにらみ合いを背中に足を置いたまますると、
姫様がほいほいつられました。
見事なスライディングでしたよ。
「チッタイツか…。」
下品に足を組みながら起き上がった姫様にがばっと抱きつきながら、
「じゃ、姫さんは居残りですね。」
といってやった。
なんだか私に捕まえられた姫さんが無言で暴れまわってますが、
気にしませんよ。そんなこと。
「…おう。」
なんだかつかれきった顔の紅蓮。
「うわぁああああああ!!お母さん!お母さん連れてって!」
泣き叫ぶ姫様。けどもう遅いですよ。
だってさっき誰がお母さんだとか言いながらドア閉めたところですから☆
さて姫様はいつ私専用温泉を作ってくれるのでしょうか。
05 鍵を掛けたはずの玄関の扉、部屋の中には
部屋でまるまって寝ている物体がいる。
うちの家は渋い色が多いから、紫はとても目立つ。
1つだけ浮いてる。
一緒に買い物にいってた妹はキャーキャー言いながら靴を脱ぎ捨て、
丸まっている紫の物体をツンツンと突いていた。
ため息を1つ吐き、妹の靴をそろえ、
自分も靴を脱いだ。
買い物袋を一まとめに置き、
庭から氷水の中に入ったスイカを取ってくると、
妹はスイカに飛びついた。
妹のキャーキャー言う声に起こされたのか、
また別の部屋から弟も出てきた。
弟もスイカに飛びつこうとしたが、紫の物体を見て、
一瞬戸惑っていた。
その光景に少し噴出すと、小さい妹達を少し離れさせて
包丁でざっくりとスイカを切った。
周りの小さい手からパチパチと音が聞こえてくる。
少し大きいかな。と思いながらも2人の盛り上げ上手に
スイカを差し出した。
自分の顔より大きいスイカを持って、妹達は縁側に座って、
がぶがぶとスイカにかじりついた。
しばらくもごもごと口を動かすとうまく種をぷーと出す。
今度は自分の妹達よりずっと大きい手でパチパチと音を出した。
妹はにーっと笑ったが、弟はさっきまで妹みたく種を出していたのに
急に飲み込むようになってしまった。
妹が「身体からスイカ生える!」やらなんやら言ってる光景を
ニコニコしながら見つめていると、
紫の目がじーっとこちらを見ていた。
あの日、プリンを渡してしまったときから
なんだか自分は気に入られてるらしい。
手元にはスイカがあるが、たしかこの大きい猫はスイカは好物じゃなかったはず。
なにかあったかな。と漁りに行こうとするとついてきた。
妹たちほどは小さくないが、自分から見ると結構小さいこの猫は、
弟がまた1人増えたような感覚を味あわせてくれた。
もっとしゃべってくれたらいいのだが。
プリンは今無い。
というより洋菓子がない。
和菓子は一から作らなければいけない。
このまえ祖母に全部食べられた。
すると、紫の目がじーと小さめの鍋を見つめていた。
今日の晩御飯にする予定のきんぴらごぼうなのだが…。
「…食べる?」
まだじーときんぴらごぼうを見つめている
猫耳のクセに猫のぬいぐるみのかばんを持った紫の物体に聞く。
「食べる!」
…きんぴらごぼう好きなのかなこの子。
「おにいちゃーん!!」
妹の声が聞こえて、妹のほうを向くと、
紫の物体を指差しながら弟が
「ふほーしんにゅう」
凄くまじめな顔で言った。
そして今気づいた。
「どうやってはいったのっ!?」
「…え?魔法。」
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