2021年頃に流TikTokなどで流行った楽曲『イージーゲーム』。

そして、2022年に始まったロシアによるウクライナ侵攻

 

一見どちらも関係ないように思えるが、思考を逆転させるとこの歌詞からプーチンの心境が見えてくる。あくまで一考察に過ぎないが一読いただけたら幸いだ。

 

歌詞の始め「後ろの正面探してるけど鬼に捕まってやり直し」は、プーチンがロシアをかつてのソ連の如き強国に逆行しようと模索しているも鬼畜の如き西側諸国に察知されてその度に戦略の見直しを余儀なくされていることを暗示しているのではなかろうか。

 

次に続く「イージーゲームでプレイしたいけどリセットボタンがないようです」は、やけくそで始めたウクライナ侵攻は最初こそ楽勝と思われていたものの現在まで続いており、落としどころがなく開戦前の状態に戻すことの不可能性を悟ってため息をついていることと重なる。

 

そして、「人生なんてそんなもんだよ ノイズ混じっても止められない」は、プーチンの人生哲学であり思い通りにはものごとがゆかないことを、彼はKGBの職からロシア連邦大統領として人生の大半における西側諸国との対決を通じて実感している。そして、彼の耳には自由・民主主義的な批判の声はノイズとして通されるがそのようなもので自分の人生哲学を変えることはできないのである。

 

ご支援ありきで奴を倒すなら、終末旗を送ってやる」は、反西側諸国の同志たちにウクライナ侵攻の支援を切に願う心境であり、それさえあればかつて米英の支援ありきで大祖国戦争において逆境を跳ね返してソ連がドイツ議事堂に赤旗を立てたことを思い返し、戦争の終末(敗北)を告げる白旗をゼレンスキーに送り付けることができると考えているのだろう。

 

行ったり来たりの言葉で低迷 1発お見舞いしてやるAB 愛想振りまき従う姿は数ある中でも見苦しい」は、プーチンが無敵と考えていたロシア軍や自身の取り巻きに対して抱いている心境だ。

ロシア軍は指揮系統の混乱により特別軍事作戦をグダグダにし、自分のもとに上がって来る報告は全てあべこべであることに悩み、自身の裏切り者にはAB(安倍元総理がされたように暗殺)することに執着している。

その結果、取り巻きが愛想振りまき従う様を見ても、もはや優越感を感じることはなく彼らの姿勢を見苦しいと喝破しているのだ。

 

そうした中、「正に生涯我が身は焼き直し ライフ無しアピるの分からず屋 揺りかごから墓場で何やってんだ 道行つねづね下り坂」と言うように、自身の人生をかつて西側諸国と対峙し自滅したソ連の姿と重ね合わせ、経済はボロボロのくせに核攻撃の恫喝を繰り返すことでマウントを取るも、もはや西側諸国はそれをバカにする。

そんな自分が作り滅ぶ可能性が出て来た独裁下ロシア連邦の歴史を振り返って自身は何をやっていたのかと苦悩する。まさに侵攻を続ければ続けるほど下り坂と言う他はないだろう。

 

リズムを逆走 試しちゃうけど 檻に入れられて ろくでなし」は、プーチンが西側の定めた秩序に対して反対の道で国家運営を行い、彼らに対抗を試みたものの、危険人物として認識されて、現在は国際指名手配されている現状を表しているだろう。

しかし「通信回線途切れる世界も 意外と不満がないようです」と言うように、ロシアは経済制裁によって国外からの5G回線が遮断されることになり外資決済もできない状態になろうと、プーチンは巨大銀行ズベルバンクの強さや非友好国へのルーブルでの借金返しといった対抗を行っており、国民がそこまで経済状況に不満があるとは思っていないようである。

 

Zで掴める中古な発想 二進も三進もいかない パロディ 真の言葉で得られた物なら 数ある中でも美しい」は、旧ソ連時代の古臭い軍事ドクトリンでウクライナ侵攻における栄光(Z)を掴めるということを暗示している。しかし、それはかつてロシア帝国が日露戦争で敗北したことや、ソ連が冬戦争でフィンランドに敗北したことのように、相手を舐めてかかって負けるというパターン(パロディ)の繰り返しである。

結果、嘘つきであるプーチンは勝利を得る為には、嘘偽りのない存在の支えを必要としており、ロシア正教を擁護しその「エヴァンゲリエ(福音)」という神の言葉を自身に都合の良いように「美しく」解釈しているのだ。

 

続いて、「正に生涯 我が身は 瓜二つ 頭だけ ねじ抜け ゆるゆるだ 生まれてから死ぬまで 丸写し 詳しい事情は 黒く塗れ」は、プーチンが最も忌み嫌うロシア国民最大の敵であったヒットラーと自身の人生や行いが重なることに関する認知的不協和を表している。実際、ヒットラーは第二次大戦末期には既に麻薬中毒と精神錯乱に陥って指導ミスを繰り返しドイツを敗北へ導く一助となったが、プーチンもまた高齢により認知機能の低下によって両者とも頭のねじがぬけてしまって、指揮がゆるゆるになっているものと解釈される。

そして、プーチンは自身がヒットラーと同一視されていることを嫌っているが、国民の一部では周知されていることには気づいており、そうした情報を発信するものには非開示という弾圧を行っている。

 

ここは彼のロシア現状に対する理解の解釈である。

人生左右の暗い道 凸凹ばっかでタチが悪い 攻撃力はそのまんま 体力増加が賄いだ フラストレーション溜まって不満で 鉱山Craft 夜が明けた

プーチンの知るロシアはどのみち明るかった時期がない。左翼共産党が支配したソ連末期の混乱、エリツィン政権の混乱、秩序を取り戻した右翼である自身のロシアは西側との対峙に明け暮れている。

そして、ロシアの発展を阻害する要因としてバカデカい国土に対してインフラが整理されておらず凸凹であることはロシア帝国時代から指摘されていることである。そして、それはソ連から独立したウクライナ南東部においても深刻な問題であり、プーチンが軍を増員しても地理的条件によって攻撃力はあがっていないといえる。

その現状打開として、プーチンは国力増進を考えるも、国民からの不満の声は止まらず批判者をシベリアの鉱山へと送るも、考えている内に夜が明けてしまい、何も考えつかなかったということだろう。

 

ベルトで打つ 平手打ち 包囲攻撃 手錠がけ 監視する 合図する くるっと回って 色仕掛け 宝を見つけて奪い去る 宝を見つけて奪い去る」に至っては、プーチンが独裁者として行ってきた悪事の数々を思い返している様を表している。

宝を見つけて奪い去る」と二回連呼していることは、一回目のクリミア併合、そして、二度目のウクライナ侵攻という二度の強奪を指し示している。

 

しかし、そんな独裁者プーチンにも本音はある。

ハードな人生懲り懲りです イージーゲームでプレイしたい ハードな人生懲り懲りです イージーゲームでプレイしたい

ロシアの独裁者として強いロシアを復活させ西側諸国と対峙し続けるというのは、やはり彼に心理的負担を強いている。今でこそ西側諸国の敵であるプーチンも政権発足当初は西側との協調の道を模索していた。

本心としては、ソ連崩壊後のロシアを西側に対して対等な関係国として認めさせたかったものの、それを成し得なかったことで強くなる為にハードな戦いの人生を歩んでいるが、かつての冷戦下最盛期のソ連のような圧倒的超大国ともなれば強く在り続ける為には本気で戦わなくて済むイージーな人生であったのではなかろうか。あるいは西側諸国の仲間入りをしていれば、このようなハードな戦いの人生ではなかったのではないか、という「もしも」を想像するプーチンである。

 

最後になるが、

後ろの正面 探してるけど 鬼に捕まって やり直し 間違い埋めてく道を歩むなら リセットボタンはあるようです

先述のように西側諸国との対峙を模索する度、目を付けられて制裁を食らって戦略の見直しを繰り返すプーチン政権。

 

しかし、プーチンは先行きの長くない自身の人生を思い返し、自身の過ちを拭う存在が自身の後釜に据えればロシア再興の道は潰えていないと考えているのではなかろうかという解釈で一旦、筆を置かせていただく。

 

最後になったが、私は楽曲『イージーゲーム』はよく耳にしていた為、この曲を解釈対象に選んだのであってに、楽曲・アーティストさんに対する批判的な意味合いで一連の精神分析を行ったわけではないので、あくまで中立的な一解釈として見て欲しい。

そして、政治的意図に関しては中立である。ウクライナ侵攻が一日でも早く終わることを願って、敢えて独裁者の思考を理解する試みとして、楽曲からの精神分析という手法を使ったに過ぎません。

どうぞご容赦願います。