戦後、恋愛至上主義がスタンダードな価値観となり、これにより自由恋愛を肯定するという風潮が主流となった。

しかし、自由恋愛の光にしか皆、焦点を当てない。その影を見るべきなのだ。「自由」と名のつくものは必ず格差を肯定する(自由経済とか自主勉強とか)。恋愛も例外ではないのよ。
顔面偏差値、社会的地位、収入、生活レベルといった生産手段の高低や保有・非保有により恋愛格差や見えない階級が確実に現れているでしょ。
自由恋愛はこれらの生産手段の低いまたは持たない者に対して「恋愛しない自由」を強制していると言えるだろう。でも、これは恋愛至上主義に基づく表面上の言葉に過ぎなくて、言わずもがなそれは残酷にも「お前は恋愛できる程度の人間ですらない」と宣告していることを意味する。
よって、成人を超えたヴァージンやチー牛と蔑まれる者は、これを社会の下した判決として受け入れざるを得なくなっているのが現状だ。
恋愛至上主義はイコール恋愛の市場化を招いたってわけ。そこでは誰しも商品であり、価格が生産手段の格差によって上下するもの。
ドイツの経済学者ヴェルナー・ゾンバルトによれば資本主義の自由経済市場を活性化させる最大要素の一つは「恋愛」であるという。恋愛が理性を無視した贅沢を生む(お洒落をしようとか貢ごうとか)。これによって金であふれかえり、デフレ脱出も可能だという。
また、自由恋愛を逆手に取って、従来のお見合いなどをオープン化させて市場参入し、玉の輿や生活の糧の獲得、生活レベルの向上を目的とした「愛なき恋」のフロンティアとしての台頭という副作用が出てきていることからも言えるだろう。


かつての戦前(我らの祖父母以上の世代)もしくは封建制はどうだったか?
これというのは、自由恋愛の否定と切り離せないものである。ハプスブルク家を筆頭に日本でも旧華族・財閥は政略結婚を繰り返すことで強さを拡大してきた。これらは基本的に個人の自由よりも家族観・社会的価値のメリットを優先していたからこそだ。いわば「恋なき愛」をオープンではないお見合いなどを通して育むことをそれらの手段としたわけ。 

マルクスの唯物史観をここで適用しよう。
階級の固定と切り離せない非オープンのもとに出来上がったお見合い結婚・伝統的家族観などを封建制と同義とすれば、経済成長や社会の成熟ともにそれらは転換点を階級闘争による革命として自由恋愛という資本主義へと脱皮したということになる。
(当然、家族意識に基づくお見合いなどが完全になくなったわけではないし、自由恋愛を許容しない家族に悩んでいる者もいるだろう。しかし、時代は完全に自由恋愛へと軸が傾いている。)
とすれば、資本主義の次に来るのは?

いわゆる共産主義である

2020年から猛威を振るう新型コロナウイルス。これは社会を総体的に自粛や凋落に追い込んだ。と同時に、人と人のプラットホームの激減をもたらしたということである。
しかし、逆にプラットホームがオンライン上に移ったと捉えられるべきだ。マッチングアプリやオンライン合コン・お見合いといった形で。

これを革命として捉えるべきだ。

インターネットというプラットホームに移った恋愛を技術的特異点(シンギュラリティ)によりもたらされる大いなる科学技術の下に一元化することができるのであれば、それは恋愛の社会主義化だ。
当事者や第三者であれど人間だけでは二人の総体的な適合率や長期的なメリット・デメリットを測ることはできない。昔、インチキ商売や保守政党への反共ロビー活動で社会問題化した統一教会は信者の自由恋愛を禁止し、教祖によるテキトーな組み合わせにより合同結婚式として恋愛市場をブロック化・一元化した。
その結果、8割の夫婦が家庭崩壊を起こした。

しかし、恋愛市場の商品全てをビッグデータとして人工知能により相性適正を判断して「平等」に「配分」すれば、今ある格差は文字通り消えてなくなる。
「恋愛できる」&「恋愛できない」という二項対立はヘーゲル弁証法的に昇華し、恋愛は制度となる。
これは、国策や社会問題の解決の手段としても使える。

AIによる配分には、プラットホームの最大級の拡大が必要だ、社会の住民を差異なく組み込まれる。これにより、人種交配と遺伝子組み換えが可能になる。社会問題になっている異種間差別も概念ごと消してしまえるのだ。

強い種とは「混血」に他ならない。
中南米ではスペインの植民地支配からの脱却後、原住民・奴隷解放黒人・スペイン人入植者(コンキスタドール)の混合により後の国民国家としての礎を築いた。
日本を含む西側諸国の人種問題を根本からなくす(フラット化する)ことに繋がるだろう。
問題の解決ではなく問題の消滅に期待することになるということだが、いずれかの同化または絶滅ではなく、新たなる種の創造に繋がる。

これから人類が人類を超える存在、いわゆるトランスヒューマンに進化するにあたって、突然変異によって発現する「超遺伝子(スーパージェーン)」を数多くサンプルとして集めねばならない。その発生確率を計算により導きだして意図的に上げることが可能だ。
いずれこれによりデザイナーベビーも作れる。


長々と書いたが、シンギュラリティと共にくる社会主義化された恋愛は我々の期待なしには訪れない。
まずはこのコロナ禍の中で必死で加速することだ。