文芸部(旧:文学研究会)の幹部だった者としてこれくらいのことは語らねばならないでしょう。

小説を書く方法。
はっきり言って、多くの小説を読むこと。そして、社会と人間たちを奥底までよく見てかつ関わって多くの体験をすることです。

そうすれば自ずとインスピレーションが湧き出て、表現力がつきますから。
小説執筆は99%のインスピレーションと1%の努力です。
あとは、書き出して途中で書くのを諦めないことです。どんなハチャメチャな形でも完成させないことにはどんな形であれ小説としての価値はつきません。未完でも、太宰治のグッドバイや夏目漱石の明暗のようなものはありますが、彼らは生きてたら完成させてたでしょう。

皆さんも2万文字以上の卒業論文を書きましたよね。大変だったでしょう。それも、小説と似たようなところがあります。短編小説も基本的には2万文字くらいが読みやすいと言われています。
まず、論文でもやった先行研究。小説家はプロットというのを作ります。要約や登場人物の名称・設定、用語や世界観の説明。まぁ、今から書くであろう小説のウィキペディア記事みたいなもんです。
それから書く段階に入りますが、論文にIMRAD法(問題提起・調査&検証・考察・結論)があるように小説には起承転結があります(短ければ転はいらない)。結を起より前に持ってくる手法もありますが、最後はやはり結へと流れます。
長い小説を書こうと思えば、起承転結それぞれ四つの中にそれぞれの起承転結を作る。長ければ長くなるほどその繰り返しです。

小説執筆と言うと、何だか難しいように聞こえるかもしれません。でも、実はそんなに難しいものではありません。日記を付けたりするのと同じようなものです。小説を書くということに身構えず、リラックスして自分が思うままに書けば、それがあなた独自の味のある小説になります。書いているうちに自分の中にもなかった物語が生まれるかもしれません。難しく考えず、気楽に書き始めましょう(文研ゼミナール2019より抜粋)。

それと、最後に小説を書く上で大切なこと。自分が現実という物語の主人公であることを忘れないでください。同時に物語の作者であるということも。人生という1つの壮大なるストーリーを実りあるものにすることは、あなたが作り出す物語に多大なる影響をもたらします。
現実は小説より奇なりです。無菌室の試験管で育ったような人間や、ただ物語のヒーローに憧れるだけの中二病の書いた小説は調味料のかかっていない料理みたいなものになります。少々、現実と虚構の境界線を越えることは大した問題ではありません。作りあげたものの価値がそれを肯定するでしょうから。

結論になりますが、何があっても自分らしさと自分の世界を貫くことです。例えば、2011年芥川賞を取った西村賢太先生は44才と最年長で取られましたがそれまでにも多くの苦役列車を乗り継いでおられます。
そんな彼が受賞の一報を聴いた際に放った一言を紹介して終わりにしたいと思います。

「そんなことより、今から風俗行こうと思ってたとこなんだよ」