祈祷会     士師記7:15~25「ギデオンと300人」    2024.8.7

 8月6日は、広島に原爆が投下されて79年目を迎えました。昨日の朝からNHKでその記念式典の様子が放送されていました。一発の原爆で、一瞬にして多くの人々の命を奪ってしまいました。それまであったに日常生活が一瞬にして奪われてしまったのです。原爆慰霊碑には「安らかに眠ってください。過ちは繰返しませぬから」と書かれてあります。戦争というのがいかに愚かで、多くの人々の命を奪い、多くの人々に苦しみを与えるのかを何度も経験して来ました。二度と同じ過ちは繰り返さないという誓いが込められています。現在はどうでしょうか。

 士師記を学んでいます。士師記6~8章は、士師ギデオンの話になります。イスラエルとミディアンとの戦いのことが書かれてあります。ミディアン人は約13万5千人の兵士、イスラエルは3万2千人の兵士で戦うことになります。話の始まりは、イスラエルの人々が神の目に悪とされることを行ったからです。先住民と交わり、先住民の拝む神々を拝んでしまったからです。神は怒り、イスラエルの敵としてミディアン人を送りました。ミディアン人からの苦しみを受けて、イスラエルの人々は神に助けを求めて叫ぶのです。イスラエルの人々の叫びを聞いて、神は士師としてギデオンを送るのです。ギデオンは立ち上がって、イスラエルの人々を率いて、ミディアン人と戦うことになります。

 圧倒的な数のミディアン人を前にして、ギデオンの導かれたイスラエルの人々はどのような気持ちだったのでしょうか。敵13万5千人に対して味方は、3万2千人です。ギデオンもイスラエルの人々ももっと戦う仲間が欲しかったと思います。しかし、神の答えはそれと反対のものでした。数が多すぎるというのです。その理由は、あなたの民は多すぎるので、ミディアン人とその手に渡すわけにはいかないといいます。渡せば、イスラエルの人々は神に向かって心がおごり、自分の手で救いを勝ち取ったというからだというのです。そこで、神はギデオンに、イスラエルの人々3万2千人の兵士に「今、恐れおののいている者はこの場を去れ」といいなさいといいます。そうすると、2万2千人の人々が去って行きます。残った数は1万人です。敵13万5千人たいして、自分たちは1万人です。いったい、どうなってしまうのでしょうか。それでも、神は多すぎるといいます。そして、ギデオンに、イスラエルの兵士たちを水辺に連れて行け、そして、水を飲ませよ。その水の飲み方で、戦いに出て行くべき兵士を決めるといいます。水辺に来て、多くの兵士が犬のように舌で水をなめました。膝をかがんで水を飲む者は戦いに出て行ってはならない。水を手ですくってすすった者だけが戦いに行ってもいい者だといいます。ここで残った兵士の数は300人でした。

敵ミディアン人との戦いの前に、ギデオンは300人の兵士と戦いに行くことになります。非常に不安だったと思います。戦いの前に不安になっているギデオンに対して、神は、従者プラを連れて、敵陣に下り、敵の人々が何を話しているのかを聞け、そうすれば戦いの勇気が与えられて、敵陣の中を下っていくことができるといいます。神の言葉を受けて、ギデオンは従者プラを連れて、敵陣まで下り、敵の人々が何を話しているのを聞こうとします。敵陣に下りますと、ミディアン人はイナゴのように数多く、平野に横たわっていました。らくだも海辺の砂のように数多く、数え切れなかったのです。ギデオンは聞きます。敵の1人の男が仲間に夢の話をしていました。「わたしは夢を見た。大麦の丸いパンがミディアン人の陣営に転がり込み、天幕まで達して一撃を与え、これを倒し、ひっくり返した。こうして天幕は倒れてしまった」といいます。仲間は「それは、イスラエルの者ギデオンの剣に違いない。神は、ミディアン人とその陣営を、すべてギデオンの手に渡されたと答えています。それを聞いたギデオンは大いに戦う勇気を与えられました。

ギデオンはその夢の話と解釈を聞いてひれ伏して、イスラエルの陣営に行きます。そして、「立て。神はミディアン人の陣営をあなたたちの手に渡してくださった」といいます。そして、いざ戦いになって行きます。ギデオンは300人を3つの小隊に分けます。全員に角笛と空の水がめを持たせました。その水かめの中には松明を入れさせ、彼らにいいます。「わたしを見て、わたしのするとおりにせよ。わたしが敵陣に端に着いたら、わたしとわたしの率いる者が角笛を吹いたら、あなたたちの敵陣全体を包囲して角笛を吹き、主のために、ギデオンのためにと叫ぶのだ」と。ギデオンと彼の率いる者が、深夜の更の初めに、敵陣の端に着いた時、ちょうど歩哨が位置についたところでした。彼らは角笛を吹き、水がめを砕きました。3つの小隊はそろって角笛を吹き、水がめを割って、松明を左にかざし、右手で角笛を吹き続け、「主のために、ギデオンのために剣を」と叫びました。各自持ち場を守り、敵陣を包囲したので、敵の陣営は至るところで総立ちになり、叫び声をあげて、敗走しました。300人が角笛を吹くと、神は敵の陣営の至るところで、同士討ちを起され、その軍勢は逃走して行きました。いわゆる奇襲攻撃です。夜中に、攻撃を受けて、敵陣は同士討ちをして、敗走して行きました。このような戦い方があるのだと教えられます。

ギデオンに率いられたイスラエルの勝利のことが書かれてあります。イスラエルの勝利があれば、ミディアン人の敗北があるわけです。士師記8:10には「剣を携えた兵士12万が、すでに戦士していた」とあります。戦争で、12万の兵士がすでに戦死していたとあるのをみると、深い悲しみになります。人間の歴史は、戦争の歴史といいてもいいでしょう。この戦争の歴史から学び、戦争を起さない歩みをするために必要な知恵を、私たちは学んでいるでしょうか。広島原爆投下79年目を迎えて、核兵器のない世界を目指すといいながら、核を巡る状況は悪化しています。戦争のない世界をつくるために、私たちは何が必要なのでしょうか。その知恵を神から与えられたいと心から願います。

祈り 神よ、聖書の学びと祈りの時を与えてくださり、ありがとうございました。士師記より、ギデオンと300人の戦いについて見てきました。このような戦いによる勝利について知りました。一方で、日曜日には平和聖日を守りました。戦争のない世界が来ることを願いました。8月6日には広島に原爆が落とされて、79年目を迎えました。8月9日には長崎にも原爆が投下されました。そのような悲劇を忘れることがなく、戦争のない世界のために、私たちに何ができるのかをあなたからの知恵を与えて欲しいと心から願うのです。どうか、世界の平和のために、世界の戦争の終結のために祈ることができるようにしてください。この願いを、イエス様のお名前によって、祈ります。アーメン。

皆様の祈り「                             」アーメン。

共に祈ってくださり、ありがとうございました。(横山厚志)