「嫌われる勇気」(著:岸見一郎氏、古賀史健氏)を読んで | the Mix of Forging and Branding

「嫌われる勇気」(著:岸見一郎氏、古賀史健氏)を読んで

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え/ダイヤモンド社

¥1,620
Amazon.co.jp

大学時代に自己啓発の本はよく読みましたが「嫌われる」という発想は目新しいと感じ、思わず購入してしまった一冊です。また社長という立場は嫌われ役を買ってでも会社が成功すれば正しい姿勢であるといわれるように、嫌われることによって導き出される新たな美(価値観)がこの本に書かれていると思いました。少し期待していた内容とは違っていたが、アドラー心理学について分かりやすく書かれており、対話形式で話が構成されており、読みやすい本でした。アドラー心理学のような考えができれば幸福に感じれると思いましたが、私自身には合わない哲学でした。

~内容~
本書に登場する人物は青年と博士の二人です。二人が対話形式で青年の悩みについて博士が相談しており、青年の悩みの解決法として「アドラー心理学」があるという話です。
それでは「アドラー心理学」とは?アドラーは「人間の悩みは、全て対人関係にある」と断言しています。どうすれば良好な人間関係を築けるのか、他人の期待を満足しようとしたり傷つけないように心がけたりすることで自分の主張を崩し、人生自由に生きられていないというのが問題だと定義しているように思えます。そのため、本書には他人の課題には介入せず、自分の課題には誰一人として介入させないなど、「課題の分離」について書かれています。他者は自分の課題や期待を満たすために生きているわけではない、結局は自分のために人間は生きているというのは納得できる部分もあります。その一方、他者貢献の側面に他者が私に何をしてくれるのではなく、自分が他者に何をできるのか考えて、実践していきたいと書かれており、ある意味アドラー心理学でも他者のことも一応考えているのだと思います。本当に誰かの課題に触れずに生きた方が幸せなのでしょうか?私自身は何もできなくて、他者の課題に入り込みたいタイプであり、その他者の相談や悩みにのることで課題そのものに手助けをできるのであればしてあげたいと考えます。また他人から期待しているかは置いておいて、他人から手助けされ続けられた人生のため、他人の課題に関与しないことは無理です。それが家族、恋人、親友ならなおさらそう感じるわけで、ある意味考え方が古いのかもしれません。
現在、資本主義が否定されている中、興味深い心理学だと思います。競争を嫌い、権力を嫌い、未来を考えるより「いま」という瞬間を大切にすべきという心理学だと感じました。一部共感できる部分もあれば、100%共感とはいかない心理学です。

~著書内で好きなフレーズ~
1. 我々を苦しめる劣等感は「客観的な事実」ではなく、「主観的な解釈」なのだと?
2. 怒りっぽい人は、気が短いのではなく、怒り以外の有用なコミュニケーションツールがあることを知らない
3. 所有の心理学ではなく、使用の心理学
4. ほめるという行為には「能力がある人が、能力がない人に下す評価」という側面がある