「取締役の心得」(著:柳楽仁史氏)を読んで | the Mix of Forging and Branding

「取締役の心得」(著:柳楽仁史氏)を読んで

取締役の心得/総合法令出版

¥1,620
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昨年からDirectorに就任した私にとって「読むべき」本でした。組織論や法律論から見た取締役の役割と対応する際の心得や考え方が簡潔に、また論理的に書かれております。本書の「はじめに」では、経営者の右腕・左腕に読ませたい本を目指していると書かれているが、著者の志も納得できるほど内容がしっかりしている本です。本書では、取締役が会社経営に関するプロフェッショナルになるべきことを説明しており、一般管理職とは同じ心得では駄目だと強く訴えています。


~本の内容~
本書は部長と取締役の違いを契約という視点から切り崩すことでストーリーが始まる。部長は雇用契約に対して取締役は委任契約であり、労働法等による保護が一切適用されない契約となる。一般人では対処できない専門的な事柄を専門家に依頼するときに交わされる契約であり、いわば経営のプロフェッショナルとして会社との契約を結ぶことになる。
本書では取締役の重要な仕事はトップのビジョンや思いを実行に移す参謀役、次世代リーダーを育成する教育者、組織の体制を変える改革者など様々な表現を使っている。個人的には経営者のビジョンを実現するためにヒト・モノ・カネ・ジョウホウを活用し、人においては目標となる行動指針を示す参謀役だと思う。
また本書では「取締役病」という表現で、取締役が陥りやすい状況や思考が書かれている。例えば、「今は業績がいいからという過信」成長しているときこそ基礎や企業活動の本質的価値をしっかりと抑え、強化することが取締役の役割だと書かれている。そのような取締役病からの展開が非常に面白い。トップとの人間関係についても書かれており、最後にできる取締役の共通点でまとめている。

そのできる取締役の共通点は、
1. スピーチがうまく、数字に強い
2. 品位を身にまとっている
3. 身銭をきって他社の研究を行う
4. 時間の大切さをしっている
5. 自社株を買って経営センスを磨く
6. 歴史書や古典を愛読
7. 独自のジョウホウルートを持っている
8. 人脈拡大よりも自分自身を磨く
9. ストレスをエネルギーにかえる



~著書内で好きなフレーズ~
1. 人脈は数ではなく鮮度!
2. 重役とは、未知への探求をする役である(藤沢武夫氏)
3. 組織と戦略は互いに影響を及ぼし、また影響を受けることで相互作用を通じて形成される
4. リーダーシップはあくまでも率先垂範を伴うものだ
5. マネジメントとは社員の才能を仕事を通じて開花させることだ
6. 業績をあげる最大のカギは責任感である。権威や権限ではない(ドラッカー氏)
7. 責任>(大なり)権限