渋谷の無限大ホールへ行って来た。本日でその歴史に幕を下ろす彩Jrへ。といっても、それを知ったのは開演後のMC天狗のトークでだったので、狙って出かけた訳ではない。彩Jrというのは、ピラミッド型の東京吉本若手芸人のランクの中で上から2番目のグループ。1つ上の頂点のグループにいるのがパンサーとかジャングルポケットとかで、それに次ぐポジションという訳。
客の入りは130人から140人くらい。うち男性は10人以下か。午後7時開演、15組が登場して持ち時間はそれぞれ3分となっている。
ライブの内容は以下のとおり。MCの天狗が、ガリバートンネルを「けつでバナナ」と紹介。
横澤夏子(女1;コント:お見合いパーティの司会。能面のような笑顔で「高橋君!」)
西村ヒロチョ(男1;コント:西村ワルチョ。こんな悪いことをしてやったぜ、という話の後で音楽と決めポーズなど)
オープンスペース(男2;漫才:卒業式ネタ。高橋の異様にハイな感じが印象的)
ゆにばーす(男1女1;漫才:スノボーって何が楽しいの?)
ガリバートンネル(男2;コント:会社の後輩に異常な気遣いを見せる先輩)
(幕間)
ラフレクラン(男2;コント:酔ったサラリーマン。日常の「あるある」不満ネタ)
ベイビーギャング(男2;漫才:夢だった高校球児を再現。りんたろーの高い声が印象的)
エレファンツ(男5;コント:犯人に対峙する刑事)
ダイス(男1;コント:食わず嫌いの称号は与えられません!)
田畑藤本(男2;漫才:大きなかぶなど童話ネタ)
(幕間)MCの天狗が、5組を紹介するのに、それぞれ、コンビとか付け加えるのに、ニューヨークに対してだけ、ビジネスパートナー、と。
やさしいズ(男2;コント:囚人の写真撮影。悪いとこ見せてよー、と注文。たいの表情が印象的)
バース(男2;コント:社会科見学の子供に突っ込まれる、数字に弱いリンゴ農家)
ザ☆忍者(男2;漫才:ピタゴラスイッチのアルゴリズム行進)
ニューヨーク(男2;漫才:別れた女、電車で携帯で話す中年女性など、トラブルのオチがすべて****キス)
相席スタート(男1女1;漫才:モテる努力)
トークコーナーは「コンビの不満裁判」、無限大ホールを卒業となる4組が登場、それぞれ入れ替わりで5人の芸人がジャッジするというスタイル。
1組目はバースの中村が近藤に「天然すぎる」と。シアターDでのステージで眼鏡がいるので、本番直前、すぐ近くの無限大ホールにストックがある小道具の眼鏡を近藤に取りに行かせたところ、なぜか、つる無し眼鏡を選んで持ってきた。ほかには近藤がビデオの撮影の時に、電話ボックスから後ろ向きで降りるシーンで、明らかにやばいと分かっていながら垂直にジャンプして足にひびを入れ、それが単独ライブの1週間前だった。ジャッジは3-2で中村の勝利。
2組目はエレファンツの大江がムサシに「とにかくうるさい」と。ムサシはトイレで意味深な独り言を言うのは序の口で、本社でいきなりポーズを取ったりして何か喋っているので、ネタの練習だと思っていたら、単に松田優作の物まねをしていただけだった、などなど。ジャッジは4-1で大江の勝利。
3組目はガリバートンネルの三須が佐助に「悲しい発言が多い」と。佐助は8年でネタを2本しか作っていないのに、「漫才したい」と話したり、仕事関係は三須がすべて段取りをつけているのに、佐助は「金が無い」と言いながらバイトせず、コンビの仕事があるのにR-1に熱を入れて、などなど。芸歴の長い順に無限大を強制卒業となるにあたり、思いの丈を全部、ぶちまけるといった感じで、床に倒れ込んで、「だから8年間売れねえんだよ!」と心の叫びまで。ガチで熱い、とはいえ、そこは客席から笑いが起きるような感じにはなってるのだけど、ジャッジは無し。
4組目はオープンスペースの高橋が砂金に「胸元アピールがうざい」と。砂金はステージでは決して見せないのに、高橋と2人きりでネタ作りをしている時だけ、チョロっと胸毛を見せてくるのだという。ファミレスで「ドリンクバーと胸毛です」といった調子で、砂金いわく場の空気を柔らかくするためらしいけれど、高橋はそれが気持ち悪くてたまらないらしい。どうせアピールするなら、持ちネタとしてやってほしいと。で、これもジャッジは無し。
この後に告知があったのだけど、実質的には彩Jrのフィナーレを飾ったのは、砂金の胸毛アピールの実演であった。
今回は外れ無し、だったのだけど、その中でも印象に残った組を幾つか。
ロマンティックネタを封印?して新ネタで試行錯誤しているらしい西村ヒロチョは、昨年暮れに観たステージとはまた違って、今度は「ワルチョ」に扮して、取るに足らないような些細な「悪さ」を、「こんなに悪いことをしてやったぜ」と大仰にアピールするネタ。スギちゃんとかぶりそうだったのだけど、途中からオリジナリティを出す感じにして回避。でも、ラストの体育座り?とか、完全に照準を若い女性に合わせてきてるのは変わらず。
西村が「エレファンツの舛方に私服がダサいと言われた」というようなことを言って客席が沸いたのだけど、その2つ後に出て来たゆにばーすも、スノボーを散々否定するネタで、「エレファンツの舛方がスノボをやってる」的な話で、また客席が沸く。
個人的に面白かったのがガリバートンネル。コントのつかみの部分で、三須がジュースを落とすところでやられた。ああいう虚を突かれる「笑い」がいちばん印象に残る。
男5人という珍しい構成のエレファンツ。ネタ自体も面白いのだけど、昔の玉川カルテットみたいなボーイズものや、はたまたドリフとかクレイジー・キャッツの時代ならともかく、今日び、男5人でコントなんて観たことないので、とにかく新鮮で。5人もいると動きの振り付けとか大変だろうな。ツボだったのはジーパン刑事ならぬ****刑事のくだり。あれはよかった。
そしてエレファンツの舛方さんこと、舛方一真、この人、ピンでやっていた時に、渋谷のシアターDでそのステージを観たことある。2010年4月14日のAGEプロ、偶然にもMCは天狗、さすがに4年前のことなので舛方が何をやったかとかまで記憶はないのだけど、記録しているのが幸いして、「この日、特に面白かったのは…」の中に、その名前が記されている。やっぱり、こうやって、伸びる人っていうのは、ほとんど無名のころから「面白い」んだよな。それを痛感したのが千鳥についてで、2000年9月2日にワッハ上方のレッスンルームで観た超若手のライブの出演者の中で、図抜けて可笑しかった組がいて、その組だけ、ずっと名前を覚えていたほど。それが千鳥であった。そう、売れていく人っていうのは、無名の時から、何かが違うんだよ。
話が長くなってしまった。ライブに戻すと、およそ吉本らしからぬ、東京芸人っぽいというか、ほとんど1人芝居みたいな感じだったダイス。この東京吉本の土俵ではなくて、別の場所で勝負かけたら、もっといいポジションに登れそうな気がするんだけど。
やさしいズは、カメラマン役の佐伯が一方的に喋って、囚人役のたいは言葉を発さない。パントマイムというか、佐伯にけしかけられた通りに脱走したり、その先で泥棒したり、動きで笑わせるのだけど、白眉は佐伯が「警察来たー、捕まったー」と言ったときの、たいの残念そうな顔。これは可笑しかった。
バースはリンゴ農家役の中村の頭の悪そうな演技がいい感じで、こまっしゃくれたガキ役の近藤の突っ込みも、これまたいい感じにはまっていた。
相席スタートは、山崎主導の女子ネタなんだけど、それを受ける山添の間というか何というかが、本当に絶妙で。力まずに笑いを誘う漫才は、個人的には高評価。
で後で発表された客席票は、1位が相席スタート、2位がザ☆忍者、3位がベイビーギャング。スタッフ票は、1位が横澤夏子、2位がエレファンツ、3位がザ☆忍者だった。女性のピンって難しいと思うんだけど、横澤のネタは着眼点がうまく、確かに文句なく可笑しかった。
終演は午後8時40分すぎ。走って地下鉄乗って神保町花月まで。無限大と違って、神保町は指定席だったので、そんなに急ぐ必要もなかったのだけど。また、無限大は出演者へのプレゼントだけでなく手紙も受付では受け取ってくれず、どうしても渡したい人は出待ちするしかないのだけど、神保町はOK。
神保町花月は名画座と一体化しており、いうなれば、ラピュタ阿佐ヶ谷と幕張のイオンよしもとが合体したような感じ。観に行ったのは囲碁将棋ライブの囲碁OR将棋で、囲碁将棋がメインで、アシスタント役が相席スタート、ゲストにロシアンモンキー。客席は70人から80人くらいの入り。こちらは無限大と違って、男性もそれなりに入ってる。
最初は囲碁将棋のトイレの水を飲んだといったトークから始まって、ロシアンモンキーが登場。ひとしきりトークが続いた後、相席スタートが出て来て、バレンタインと節分について囲碁将棋とロシアンモンキーが好き勝手に喋る内容をホワイトボードに記していくといった格好。これをたたき台に、最後にそれぞれが漫才をするといった塩梅なのだけど、バレンタインの方は螺旋階段?に住むホカオさんの話やら、あれやこれやで盛り上がるのだけど、節分の方は「鬼は外、ふくらはぎ」といった勢いだけのギャグしか出て来ないといった感じ。結局、先輩にあたるロシアンモンキーがバレンタインネタをとって、囲碁将棋は先攻で節分ネタで漫才を作らされる破目に。
2組が即興で裏で漫才を作っている間、相席スタートがつなぐ。ネタ作りの話。通常、コンビはどちらか一方がネタを作るというパターンが多いようなのだけど、山崎も山添も、元々、組んでいたコンビではネタ作りの方だったので、お互いにダメ出しとかしあったりして、1本のネタが出来るまで、えらく時間がかかるらしい。
あとは山崎の作る女子あるあるネタについて、山添がバイト先でたまたま一緒になった女の子たちに、本当にウケるのかどうか、舞台にかける前に反応をうかがってみた話。普段の漫才の裏話的なものなんだけど、これで1本、漫才が作れるくらい可笑しかった。
で、囲碁将棋は節分縛りの即興漫才を、豆まきを野球になぞらえることで切り抜ける。ロシアンモンキーは「バレンタイン違い」で、前半はバレンタイン監督の話ですべてボケるという展開、後半は、ステージ終了後のトークでわかったのだけど、オチだけ用意しといて、後はほとんどアドリブだったとのこと。軍配はロシアンモンキーに。
ロシアンモンキーがとにかく自由な感じ、というか、場の空気を即座に笑いに持っていくトークの力技というか、全身芸人といった感じだった。