
誰が 戦争したがっとるん?
何で 戦争したがっとるん?
戦争始めたら どうなるかわかっとる?
そうなったら……
私ら弱いもんを 誰かが守ってくれると思うとるじゃろ?
これまでの歴史を 調べてみんさいや
弱いもんを 誰が守ってくれたかね?
弱いもんを 国が守ってくれたかね?
戦争して 誰が一番苦しんだ?
戦争が終わっても 苦しみ続けとるのは誰?
ぜ~んぶ 弱いもんじゃ
戦争は 究極の弱いもんいじめじゃ
殺すほうも 殺されるほうも
どちらも弱いもんじゃ
弱いもんどうしが
殺し合いたくもないのに 殺し合いをさせられる
それが 戦争じゃ
じゃけぇ 戦争はいやなんじゃ
戦争なんか 絶対にしとうないけぇね
戦争が始まれば また……
弱いもんが たくさん殺されることになる
弱いもんどうしが 殺し合わんといけんようになる
もう 焼け野原はまっぴらじゃ
もう 生き地獄はまっぴらじゃ
そう思って
ヒロシマやナガサキの被爆者は
思い出したくもない 地獄のような体験を話してくださる

何としても 領土を増やしたい……
だったら 他国の領土を奪えばいい
そこに住む民が邪魔なら……
追い出せばいい 殺せばいい 支配すればいい
エゴで始めた戦争が
中国残留孤児をつくってしもうたんじゃ
祖国に見捨てられ
終戦を迎え さらなる苦しみが待っていた
何十年も苦しんだ上に
やっと幸せになれると思って祖国に帰ってきたのに
祖国は 温かく迎えてはくれんかった
それゆえ……
未だに 日本語をうまく話すことができず
年を追うごとに 寂しさを募らせておられることを
どれほどの人が知っとるんじゃろうか
戦争が終わって何年経とうが 何十年経とうが
受けた心の傷は消えることはない
それどころか ずっと苦しみ続けんといけん
先人たちの苦しみの上に 今の平和がある
先人たちの悲しみの上に 今の平和がある
先人たちの努力の上に 今の平和がある
私らは……
それを忘れたら 絶対にいけんのんじゃ
今の私らが 苦しまんでいいのは
先人たちのおかげじゃ
今の私らが 平和にのどかに暮らせるのは
先人たちのおかげじゃ
先人たちは
気の遠くなるような七十年という長い年月を
平和を願って 努力に努力を重ねてこられた
戦争するということは
その努力まで 殺してしまうことになるんよ
今 私らが……
その努力を無にすることは 絶対に許されん
その努力を殺すことは 絶対に許されん
今 私らは 進むべき道を間違えたらいけん
私らが進むべきは 平和につながる未来じゃ
いつまで戦えば 気がすむんじゃ
どれだけ戦えば 気がすむんじゃ
戦争は……
人が 人でなくなる恐ろしいもんじゃ
戦争が始まると
人は 人を平気で殺すようになる
人を殺すことを 何とも思わんくなる
戦争は
いともやたすく 人の気を狂わせてしまう
気が狂った人間が 核を使ったらどうなるんじゃ
そうなれば……
この世は終わりじゃ 地球も終わりじゃ
人間に恵みを与え続けた地球
人間を温かく育み続けた地球
地球の気持ちを思ったことはあるんね?
地球に 何をしようとしとるんね?
地球は 人間が支配しとるんじゃない
恩恵に感謝しながら
人間は 生かさせてもろうとるんじゃ
じゃけぇ
おごり高ぶったらいけんのんよ
人間が 人間を殺したらいけん
人間が 地球を殺しらいけん
人間は 戦争をしたらいけん
人間は……
もう 二度と
過ちを 繰り返したらいけんのじゃ
「まがつびよ ふたたびここに くるなかれ
平和をいのる 人のみぞここは」
湯川秀樹の歌を刻んだ碑です。 (「まがつび」とは、災害・凶事を起こす神。)
湯川博士のことを少しですが、調べました。
そして、思いました。
科学者でなくても、普通に生きていても湯川博士の遺志を継ごうと思えば
誰でも継げるのだと。
湯川博士は、第五福竜丸が被爆したビキニ事件に衝撃を受け、
科学者の先頭に立って核兵器の廃絶運動に乗り出した。
そして晩年、ガンに侵されながらも
「核廃絶の道は必ずある、人類の叡智を結集すべきだ」と繰り返し、言い続けられた。
それは、物理学が生み出した核兵器の恐ろしさをアインシュタインと語り合っていた湯川にとって
“科学者の責任”という博士の遺志を継ぐことでもあった。
物理学者 湯川秀樹夫妻の手をとって、涙をポロポロと流しながら、
自分が研究したことが原爆になってつみもない日本人を殺すことになって申し訳ない
と言って泣いたアインシュタイン。
1955年
湯川は、バートランド・ラッセルからアインシュタインと共同で
平和宣言への署名を呼びかける手紙を受け取った。
その2週間後、一番尊敬していたアインシュタインが逝く。
その知らせの翌日ラッセルに署名受諾を伝える。
11人の科学者が署名。
1975年湯川は日本で始めて開くパグウォッシュのシンポジウムで議長を務めることになる。
米などの核保有国に改めて核廃絶を訴えたいと考えていた。
「自分の国の国家利益のために各国が動いていたら、この世界は立ち行かないですよ。
普通の人間社会でも国際的な人間社会でみても、
単に自分のエゴを主張する自分の小さな利益だけで動いておるというのでは
社会全体がうまく動いてゆかないというのと同じことですね」
核なき世界を 物理学者・湯川秀樹-日暮れて途遠しより転載・引用
~ラッセル・アインシュタイン宣言~
人々は個人としての自分たちめいめいと自分の愛する者たちが、
苦しみながら死滅しようとする切迫した危険状態にあるということがほとんどつかめていない
私たちは、人類として、人類に向かって訴える――
あなたがたの人間性を心に止め、そしてその他のことを忘れよ、と。
もしそれができるならば、道は新しい楽園へむかってひらけている。
もしできないならば、あなたがたのまえには全面的な死の危険が横たわっている。
ラッセル・アインシュタイン宣言-日本パグウォッシュ会議より転載