以前から、岩手の「奇跡の一本松」のことを考えていました。
私たちは何に気づけばいいのだろうと思っていました。

そして今日、詩が出来上がりました。

東北の方々に受け入れていただけるかどうかはわかりませんが、
今の私に書ける精一杯の詩です。

一人でも多くの方に読んでいただけたらと思います。




「一本松の志」


東北の人々よ どうか
悲しまないでください

お願いです
これから先 どんなに
私の姿が変化しようとも
どうか 悲しまないでください

私は 私たちは
東北の人々が大好きです

だから ずっとあなたがたと
共に生きてきました
だから ずっとあなたがたを
守ってきたのです

あなたがたが私たちを
ずっと 愛してくれたから
あなたがたが私たちと
ずっと一緒に生きてきてくれたから

だから あの日も
私たちは 命の限り 力の限り
あなたがたを守りかったのです

でも 襲い来る津波は
私たちの予想をはるかに超えていました

私たちは もうあなたがたを
守ることができないのかと
一瞬 絶望しました

でも 最後まで
あなたがたをお守りしなければと
高田松原の仲間全員がそう思いました

ただただ あなたがたを守りたかった
ただただ あなたがたを救いたかった

でも 私たちは
あなたがたを守るほどの力はありませんでした

とても悔しかったです
とても悲しかったです

だけど 
悔しがってばかりはいられません
悲しがってばかりもいられません

すぐに 気がついたのです
まもなく 
とてつもなく大きな絶望が
あなたがたを襲い始めることを

私たちは そのために
心を一つにしたのです
私たちは そのために
命を一つにしたのです

だから 私は
たった一本の松ではないのです

私たち七万本は
一本の松になったのです

だから私は一人ぼっちではありません
だから私は孤独ではありません

私は あなたがたを悲しませるために
今 ここにいるのではないのです

あなたがたは 
広島の被爆アオギリをご存じですか?

原爆の熱線と爆風で
幹の半分が焼けてえぐられたけれど
その翌年の春には新芽を出しました

七十五年も
草木が生えないと言われていただけに
広島の人々は大いに喜びました

そのアオギリが 
私に こう言ってくれたんです

私は 
広島の人々に
生きる希望を
明日を夢見る希望を
未来につながる希望を
与えたかったんです

そして 今
日本中が恐怖で震えあがったとき
東北が絶望一色で覆われたとき
どれだけの人々が
あなたに心を救われたことでしょう

東北の人々が
希望の灯を完全に消さずにおれたのは
あなたがそこに立っていたからですよ

私は その言葉を聞いて
自分たちのできることを 
心を込めて
精一杯 悔いなく
やり遂げてよかったと思いました

だからこそ 今
私は 自らの姿を通して
志を この世に残そうと思っています

形あるものはすべて
いつまでも そのままでいられない

形あるものは 
その形がなくなれば
この世に とどまることはできない

でも 心に深く刻み込まれたものは
いつまでも 心にとどまることができる

心に深く刻み込まれたものは
いつまでも 生き続けることができる

今こそ 物ではなく
形あるものではなく
心を大切にして生きていってほしい

今こそ
心に生き 
未来のために
心を残すときなのである