多すぎる!
第1化の発生量が多かったヨナグニサン。
当然、産卵数も多かったはずで、アカギの若木(高さ3m前後)には幼虫の旺盛な食欲によって丸坊主にされてしまったものも散見されます。こんな感じで・・・見づらいかな?
こんな木では、成長途中なのに食べる葉がなくなってしまい、枝上を右往左往する個体が見られます。
地上には止まっていた葉柄を他の幼虫に噛み切られ、落下したと思われる幼虫が彷徨っています。
繭造りは必ずしも自分が育った木の上で行われるのではなく、木を下りて他の条件の良い場所を選ぶことも多いのですが、無理やり僅かに残った葉の断片で繭造りを始めている幼虫もいます。絶対不可能!
本来なら成長過程にあるものが、食糧不足という緊急事態の中で見切り発車的に繭造りを始めているような気がします。
病気の発生も多いようです。力の強い尾脚でぶら下がったまま死亡している幼虫が見られます。
葉のなくなった木にいたり、地上に落ちた幼虫はまだ葉の豊富なアカギの木に移動させました。
観察場所は20年ほど前、ヨナグニサンが絶滅寸前と言われた頃につくられたアカギの造林地です。
ヨナグニサンの個体数回復に大きな役割を果たした森ですが、現在では気がかりなことが進んでいる森でもあります。
5年程前には遊歩道が設置され、道沿いにはさらにアカギが植えられました。
これがやみくもにという感じで、成長の速いアカギのこと、20年後には林の様子がすっかり変わっていないか気がかりです。
最初に植樹されたものは、今では大人が一抱え以上もある大木に育っています。
アカギは島外から持ち込まれたものですが、その際にまぎれ込んだと思われるオオシママドボタルが周辺ではすっかり定着しています。
幼虫がカタツムリを食べるので、固有種ヨナグニマイマイに悪影響が出ないだろうか気がかりです。
天敵がいない環境で育ってきた在来の生物は、突然の天敵の出現に耐性がなく、絶滅してしまう可能性が十分にあります。
植樹して数年の間、土中に紛れていたツマグロゼミの幼虫がたくさん羽化してきました。
ツマグロゼミは、地域によって体色や鳴き声に変異がある種です。
もともと与那国にいた個体群と交配して遺伝子の攪乱が起こっていないか気がかりです。
ヨナグニサンを守るためには、ヨナグニサンのことだけを考えた方法ではなく、ヨナグニサンの存在を、生態系の一部と捉えた保全活動でなければならないのです。

