
ここ2、3年くらい、「マジカルミライ」という初音ミクのライブに行く機会をうかがっていた。調べてみると、別にこのマジカルミライというイベント以外にも、いわゆるライブのようなものは行っているようだが、特に詳しいわけでもないので最初からマジカルミライしか念頭になかった。
なんでまた初音ミクか。
まあ元々ね、好きなんですけどね、その辺は。。。
でも実際にボーカロイドも、クリプトンの初音ミクも持っているわけでもないし、カワイイとは思うが、特段にハマっていたわけでも詳しいわけでもない。
目的は大きく3つ。
1.どの程度にそういうものがライブとして成立するほどに「そこにいる感」が出せるものなのか。
2.そして3次元でも2次元でもないモノが歌って踊るライブに熱狂するって、どういう感じか。
3.産業総合技術研究所によって開発され、そして数奇な運命を辿ったヒューマノイド「未夢」との違いの確認。
4.なんだかんだでミクちゃん可愛いから、目の前に現れたら嬉しいな♡
1は、ニコ動とかyoutubeで映像としてはみられるのだが、やはり実際はどうなのかと。
2は、まあアイドルのコンサートと大差なかろうというのは想定されうるが、やはり「実態がない(ある意味で2次元ですらない)」ものに、サイリウム振り上げるというのはどんな感じか。変な話し、ステージ裏から見たら、何もない空白のステージに向かって数万人がサイリウム振って盛り上がっているわけで、それはやはり奇妙だ。
3が一番重い。
実はこのマジカルミライに行くという話しは、前回このブログに書きこんだ未夢というヒューマノイドの話しと少しリンクしている。物凄くが単純化していうのなら、私がヒューマノイドである未夢に抱いた感情と似たような何かが、初音ミクを目の前にしたら起きるのか。未夢は実体あるヒューマノイド、ミクは虚像。その中で、「ロボットとは何か」という問いを想起させるような何か問いかけを、ミクは私にしてくれるのか。そういう意味では、私にとってマジカルミライは実験だったりもした。
4は・・・まあ・・・
そういうことです。純粋にミクちゃん見たかっただけです。
さて、それで。
5月だったかに突然マジカルミライのことを思い出して調べたら、なんと9月に日本武道館で開催されるようで、チケットの予約抽選の販売がまもなく締切とのこと。あわてて4口だけ申し込んだのだが、当たったのは1口。しかもA席。席はアリーナ、S席、A席の3種類で、A席というのは武道館の場合は3階席の後ろの方など。目的が単純にミクちゃん見たいではないので、スタンド席の方が冷静に見られるのではないかとも思い少し悩んだのだが、発券されるまで厳密な席は分からないし、あまりに見辛い席や、シーンとした雰囲気でもそれはそれで違うので、A席ではダメかなと権利放棄。で、ヤフオクでかなり工夫して定価+500円でアリーナを確保した。でもこれもアリーナが確定しただけで、具体的にアリーナのどこか分からない。
そしてチケットが8月1日に発券され、ヤフオクの出品者から送られてきたので席を確認した。
武道館に限らず、アリーナというのは普通は固定席ではないので、開催される催し物によって席配置が変わり、また当日までその配置は公表されない。ただ、そうは言っても基本的には数パターン程度しか配置のバリエーションはない。
えー、B7-21と。この番号の振り方だと、この配置のパターンのはずなので・・・
ステージ真正面の前から21列目・・・
とんでもない席が当たってしまった。
これはこれで困った。というか戸惑った。
いやー初心者なんで、何を準備していったらいいのか、会場ではどう振る舞えばいいのか。なにしろラブライブのライブなんか、流血沙汰になるって言うからな。。。行きつけの美容室で、いつも切ってもらってる美容師にその話をしてみた(彼もそっち系の人で、近年はラブライブの人です)。
「やっぱサイリウムとか振らないとマズイですかね」
「まあ、奇異なものを見る目で見られるでしょうね。でもミクの人たちは、ライブライバーほど凶暴ではないらしいので、大丈夫じゃないですか?」
いやぁ・・・不安だなぁ・・・
結局、youtubeでミクのVer.1~3までのサンプル音源をいくつか聞いて、過去のライブ映像をチラッと見ただけという予習ほぼゼロ状態で当日を迎えた。
さらにサイリウムも基本的に振らない方針にしたので、皆が持っていると思われる電池式のものは持たず(買わず)、ポキッと折って薬品を混ぜる昔ながらのタイプ(釣りしている人に分かりやすく言えば、デカいケミホタル)を、あまりに居たたまれなくなった時の緊急避難用に1本持っただけ。
さすがに参ったね。
始まる5分前くらにまわりを見回すと、確実に「100%」全員電池式のサイリウムを持ってますね。分かっていたこととはいえ、さすがに気まずい。オフシャルグッズ売り場で買うべきだった。ということで、無いよりはましということで、液体のサイリウムをポキッと。
さて、定時を5分ほど過ぎて会場が暗転。
前方のスクリーンにそれっぽい映像が現れ、そして大歓声に包まれながら、ステージ上の物凄い横長の巨大透明アクリルにフワッとね、登場しましたよ、ミクちゃんが。
・・・あら。ずいぶん小さいのね。
いや、伸長158cmというキャラ設定の問題ではなく。周囲のバンドマンと比べて、なんとなく1まわりスケール感が違う様な。でもまあ、思ったよりは小柄でしたくらいの話しなので、こんなもんか。
それよりも気になったのは、そのミクが投影されるアクリル。映写されるわけだから透明度100%ではマズイのかもしれにないが、いずれにせよ結構目立つ。またミクは走り回るので、アクリルは横には長いのだが、縦が短い。ミクの身長+1mくらいしかないんじゃないだろうか。だから、なおさらスクリーンが目立つ。いっそ思い切り上まで伸ばしてしまえばいいと思うのだが、出来ないのか?
そんなこんなで、期待したほどは「うおぉ、ミクがそこにいる!!」みたいな感動はない。ただ背景の色や、光の当たり具合でアクリルスクリーンが消えるタイミングがあって、その時はちょっと「うわぁ!」と思ったね。特に投影されるミクのライティングが陰影の濃い作りだと、いかにも照明が当たっているような雰囲気で、けっこうリアル。
あとは、演出が全般的に残念な感じ。
パッと登場して、スッと消えてしまう。ミクだけではなく友達キャラも出てくるので、もう少しそれらと絡んだり、退場する時も袖に走って消えてみたり、あるいは歌って踊るだけではなく、もっと客席を煽るようなアクションをしたりとか、なんかやり様がある気がするのだが、出てきて歌って踊って消えるの繰り返しで、なんかそこは結構つまらない。
あと本物のバンドマンともう少し絡んだりするのかと思ったが、全くそういうのは無いのね。じゃあ別にリアルバンドじゃなくても良いんじゃないか?
最大のポイントは、ノリですね。
サイリウムを上下に振りながら、縦ノリが少しありつつ棒立ち的な状態。凄いノリノリで振ってる人もいるけど、それも「激しく」振ってるだけで、基本的には同じ。別にクラブに来ているわけではないし、ディスコでもないし、そういうもんですよね。分かってます。別にそれ自体をどうこう言おうとは思わない。
でもさ、基本的に曲調がアップテンポな歌謡曲またはユーロビート風な感じなんだよね。いや私がユーロビートが好きかどうかはともかく、でもいずれにせよ曲調は「踊り系」。別に曲自体も悪くはない(ユーロビートが好きかどうかはともかく)。そして、ミクは人間じゃないから疲れないし、どんなに踊り狂っても歌に影響なし。ということでガンガン踊っていると。そうなると、もう私としては踊りたいわけですよ。サイリウムとか上下運動の繰り返しで振ってる場合じゃない。
そういうことで、サイリウムは4曲目くらいでミクのパートが終わって、リン、レン、ルカ(別のボカロ)が続けて出て来て緑色サイリウムを振る必要がなくなったあたりから、やめた。
すみません、みなさん。そういう場じゃないのかもしれません。知ってます。
でもね、私は踊りたいの!
すぐ目の前で、歌って踊っている等身大のミクと一緒に踊れるなんて、こんな機会ないです!
ということで、踊っちゃうモードに入らせてもらいました。もちろん座席も並んでるし、かなーり控えめにだけど。でもそう割り切っちゃえば、もう凄い楽しい! ちょっと先で踊り狂ってるミクちゃん見ながら、こっちも踊る。うわーぁ・・・楽しいぃ・・・
こうなってくると、もっと前が良いな、目の前で見たいな。ていうか、もっと近くで一緒に踊りたい。
ああそうか、これか。この感じか。。。
こういう感じなら肯定する、このイベント。
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最後は、サイリウムをなんとなく合わせて振りつつ踊るのも少しできて、慣れたら踊って振るのも苦じゃないのかも。
実は、途中でシステムダウンしてライブが中断したのもご愛敬。
古参のファンと思われる人々は「いやあ、昔はこういうのありましたよねぇ。なんかかえって懐かしい感じで面白い」とか言ってた。なるほどね、そうだよね。
さて、真面目な話し、どうなんだろう。
ミクの場合、いわゆる固定化されたオタ芸があまりない。良くも悪くも、みんな適当に合わせてサイリウム振ってるだけ。つまり、かなり緩いわけだ、参加の仕方が。だとして、本当にサイリウムは必須なんでしょうか。
途中で少し冷静に観察もしていたのだが、実は踊りたさそうな素振りを見せている女の子とか、チラホラだけどいたんだよね。終わった直後に客出しのために流れた音楽に合わせて、突然踊りだすヤツも見かけた。
なんか、サイリウムを振るもんだという暗黙のルールが、すごくこのイベントの楽しみを奪っている側面がある気がする。いや、いっそクラブイベントみたいにしてしまったら、けっこう良いんじゃないか? 踊りたくない、踊れないというなら、一緒に踊りたい人たちだけのイベント。規模が小さくなってしまいそうだし、スクリーン前に人が殺到しそうで現実的ではないかもしれないが、なんかもったいない気がする。もちろん、「アイドルのライブ」というのはそういうものだ、それが楽しみ方なんだ、といわれてしまうとそこまでなんですけどね。それはそれで正論なので。
結論。
単に2次元キャラが歌って踊るのを遠くから眺めてサイリウム振るだけのイベントなら、もう行かないかも。
でも踊れるなら、是非また行きたい。
当初の目的の3については、正直なところ見当はずれなテーマを持ってしまったと思う。だけど、ボカロのまったく新しい楽しみ方を見つけてしまった気がする。マジカルミライの主催はクリプトンと東京MXなんだが、東京MXは昔のテレ東よろしく、実はけっこう挑戦的な番組を作っていたりして、私は期待している。どうですかね、クリプトンとMXの皆さん。ボカロにも違う楽しみ方、ありそうだと思いますけどね???