
小学生の頃に住んでいた家の近所に空き家があって、そこにけっこう立派な枇杷の木が生えていました。夏になると毎年実をつけるので、その空き家の塀によじ登っては実をもいで食べていました。どんあ味だったのかは覚えていませんが、まあよく食べていたのでおいしかったのでしょう。
そこが空き家だと知らない通りがかりの大人に、「人のうちの枇杷を食べちゃダメでしょ」と怒られたりしたものです。
でも、今時分ではそんな起こられ方も中々ないよな、と思ったり。
まず、そもそも枇杷を庭に植えている家なぞあまり見かけない、ということ。それから、そんな見ず知らずの子供を叱るような大人もいるようないないような。余計なことをして、うちの子供になにを言ったんですかと訴えられでもしたら、大変。
閑話休題
久しぶりに、中 勘助の「銀の匙」を呼んでいます。やっと前編が終わったところですが、初稿が大正元年というから今からざっと100年前の小説です。しかしなんとも懐かしいというか、瑞々しいというか、ウィットに富んでいるというか、今更ながらに素敵な小説。色褪せない。
こういうものを読まされると、自らの文才のなさをまざまざと見せつけられた気分ですが、そんなことはどうでもよくて、いや素晴らしい。
最近、けっこう若い著者の小説が原作となっている映画がたくさん制作されているようで、そういう意味では小説が復活しているのかなとも思いますが、こういう古いものを、お茶でも飲みながら、これからの秋の夜長に向けてゆっくりと読んでみることもオススメします。エンタテイメントも自分探しも、等身大の恋も生き辛い社会の話もないけれど、物語の粋を染み込ませてみていただきたいなあ、と。。。