なぜかというと、誘われたから(笑)

先々週の金曜日に大阪出張に出ていた同僚から「土日で京都行くけど、こない?」と悪魔の囁きがありました。

むーん・・・
いまは京都中で寺社の特別拝観期間で、普段は見られないものが山ほどOPENに。そうね、行こうかな。と思ったのですが、結局決断したのは土曜日の夜10時。当然電車は無理なので、車で行きました。ここからがまた前回とは違う意味での地獄のハイウェイでした。

しょっぱなでツマヅイタ。
それはそれは寒い日だったんです。東名で京都までビューンなんて思ってたら、、まず大井松田(東京から向かうと、箱根の手前くらい)から静岡の沼津までが雪で通行止め。じゃあ一般道で箱根を越えるのかというと、私の車は無理。だってチェーンつけられないんだもん。情報はなかったけど、東名が雪なら、一般道の箱根越えは当然雪でしょう。

そうすると、相模湾沿いに南下して、134号から西湘バイパス(いわゆる湘南てやつを走る高速道路)で小田原近辺までいって、さらに真鶴道路で熱海に出る。

で、そのあとどうするんだ??

とりあえず無計画な私は、先行きも見えないまま真鶴道路まで来てしまいました。そこで料金所のおじさんに相談。

「あのー、静岡の方に抜けたいんですけど、どうするのがいいですかね」
「静岡?じゃあ熱海から熱函道路というのに乗るのがいいんじゃないかな」

熱函道路?聞いたことないな。まあいいや、じゃあそれにしよう。ただ、おじさんの顔がいぶかしげだったのが気になるな・・・

ということで、真鶴道路をぶっ飛ばして熱海着。熱海駅周辺のコンビにで熱函道路へ出る道順を聞きます・・・
おお、近いじゃん。伊豆半島を横断して三島、沼津方面へ抜けることが出来るようです。ではさっそく熱函道路へ出る道へ・・・

げげ・・・すんごい山道・・・

ほーらね、ちょろっと昇っただけで雪が降ってるよ・・・

でも若干だからいけるかなと思った矢先に、目の前に大渋滞の列が。しかも、待てど暮らせど微動だにしない。パトカーがそばにいるけど、公僕も情報を持っていない様子。ほんとうにピクリとも動かない。あきらかに交通が遮断されてる。
だめだ、これから京都に行こうというのに、こんなところで何時間待たされるかもわからず立ち止まれない。ということで下山。

しかしこれ以上南下すると、伊豆半島を横断するためには天城峠を越えなければならない。無理だ、それだけは絶対に無理だ。あの豪雪地帯を抜けるのは無理だ。


どうしよう・・・


不安になりながら、とりあえず伊豆半島の海岸沿いの国道135号を南下。伊東あたりでポツンと夜中に営業しているガソリンスタンドを発見。店のお兄さんに聞いてみました。

「あのー・・・静岡方面に行きたいんですけど、東名が通行止めで、熱函道路も止まっててここまできてしまったんですが・・・」
「うわー、大変ですね。いやあ、夕方に急に雪が降ったでしょ」
「え?降ったんですか?そういえば真鶴道路も少し雪が残ってたな」
「東京は降らなかったんですか?とりあえずですね、すぐそこから中伊豆バイパスというのが出てますから、それで行ってみてください。夕方はチェーン規制が入ってましたが、いまはどうでしょうね・・・。もしもそれでだめなら、もっと南下するしかありません。もっともこれ以上に南下しても天城は絶対に無理です。もしかしたら南伊豆あたりまで南下しても半島の横断は無理かもしれません。そうすると、最悪135号を伊豆半島に沿ってずっと走るしかありませんよ。」

クラクラしそうだった。伊豆半島を一周???いったい何時になったら伊豆半島の裏側へ行けるんだ?

免許を取って以来「馬鹿じゃないの?」と言われるような無茶苦茶な車旅行を何度もしてきましたが、正直、今回ばかりは本当に怯んだ。本当に心細くなった。本当に止めようかと思った。でもとりあえず、せっかくだから中伊豆バイパスへ向かおう。

「お気をつけて・・・」

本当に心配そうな顔で、ガソリンスタンドのお兄さんが送り出してくれました。しかし、出発してから少しして、胸騒ぎがしました。

ガソリンの補給はしなくて良かったのか?

今時の車の半分以下しか走らない我が愛車の燃料メーターは、半分くらいを指している。クネクネした峠道を走ることを考えると、あと100キロ強しか走れない。この先は、夜が明けるまで給油は絶望的な気がする。そう思ったのに、なぜか体が道を引き返そうとしませんでした。本気であせっていたんだと思います。

そして中伊豆道路へ。

くねくねとした山道をどんどん登っていく。不思議と積雪がない。路面凍結もない。行けるかもしれない!しかし、峠道の最初の頂上まできたその瞬間、私の希望は打ち砕かれました。本当に、まさに峠筋まででて、これから下るというその途端に、道一面にガサガサに凍結した雪が散らばっていました。

終わった・・・

凍結した所に乗り上げてしまっていたので、スリップをしないように慎重に方向転換をして、いま期待に胸を膨らまして登ってきた道を、今度は絶望的な気分で下っていきました。「おそらくこの分だと、南伊豆の松崎街道もダメだ」

自分の認識の甘さを痛感しました。
とういうかですね、みなさん石川さゆりの「天城越え」っていう歌、知ってます?冬の天城峠を好きな男と越えていく女の人の歌です。
その昔、まだ自動車なんてなかった昔、というか昭和の初期くらいまではそうだと思いますが、天城越えというのは本当に命がけだったんです。そのことが今回は体験として痛感させられました。
箱根越えというのもそうですが、結局関東から東海地方に抜けようとすると、海岸沿いを歩く以外は箱根か天城近辺を越えるしかないわけです。山梨側を越えるなんて、もっと非現実的ですから。そしてそれは、本当に命が掛かった決死の峠越えだったんですよね。それが分かっただけで、なんかものすごく意味のある旅行だった気がして、感慨深いものがありました。

さて、こうして中伊豆道路が駄目と分かった時点で、わたしゃ開き直ったよ。いいよ、行ってやるよ、伊豆半島一周して京都までさ!
もう寺の見学なんてどうでもいいよ。意地でも京都まで行ってやる!!


ということで、続きは明日。