あたまボリボリ掻いてるのがいそう。

松田勇作系ではなく、金田一系(漫画じゃないよ)。
しかしなんですね、やはり憧れの職業ですよ、探偵。

まあ、松田勇作系というか、ああいう退廃的な感じ、破滅的な感じっていうのは、なぜ魅力的なのでしょうね。

歌舞伎町辺りのボロボロの貸しビルに住んでいるんですよね、イメージ的には。




むせ返るような湿気と暑さで目が覚めた。
消し忘れた扇風機が、低く唸りながら空気を掻きまわしているが、じっとりと重い空気が羽にまとわりついている。体が陰気な汗を掻いているのか、湿気がまとわりついているだけなのか、体を引き剥がしたベッドが不愉快そうに湿っている。

何時間眠ったのだろう。

下品な花柄のカーテンの隙間から、曇り硝子越しに派手なネオンが明滅しながら滲んでいる。いつも通の下らない喧騒が、暗く湿った部屋を通り過ぎていく。

ぼんやりとかすむ頭で、昨日の悪夢を思い返す。いや、もしかしたら本当にただの悪い夢をみただけなんじゃないか、このベッドの湿り気は、悪い夢に魘されただけのことじゃないのか。
しかし、それが都合のいい嘘であることを、腕の鈍い痛みが伝えてくる。

それにしてもこの湿気はなんだ。剥き出しのコンクリートに白いペンキを塗っただけの壁が、結露して湿っている。そっと壁をなぞると、結露した雫が腕を伝って落ちていく。生ぬるいその水の感触が、妙に自分がここに在るという感触を際立たせた。

乾いた音で、電話のベルがなった。嫌な予感がする。

「出てはいけない」

俺の中の何かが、そう呟いた・・・




こんな感じでしょうかねぇ。
いいなあ、探偵。きっと美人だけど陰のある女の人の依頼者とかと、どうかなっちゃうんだ。