国民的英雄の闘牛Tの話 | 怪盗オッタの日記

国民的英雄の闘牛Tの話

オッタから今、スペインで大変話題になっているニュースが届きました。

『今日、スペインの国民的英雄の闘牛Tが亡くなり、各地で国葬が行われた。悲しみに明け暮れるスペイン国民。人々は闘牛Tの写真入りのプラカードを掲げ、泣きながら追悼パレードに参加した。

ことのはじまりは、2年ほど前に遡ります。
闘牛Tと闘牛士Mは最高のパートナーでした。闘牛士Mは闘牛士のくせに闘牛を殺すことができず、闘牛Tと契約を結んでいました。「俺はとどめを刺すことができないんだ。お前、頼むから死んだふりしてくれ」と。こうしてコンビになった2人ですが、次第に国民にも真相が知れ渡り、いつしか大人気コンビへとなったのです。2人が闘牛場に登場する日は、席は満員で立ち見の観客で溢れました。もう、それはすごい人気だったのです。闘牛Tには特権が与えられ、常に闘牛士Mと行動を共にすることが許されました。牛のくせに、BARだろうがレストランだろうが、闘牛Tは闘牛士Mの行くところはどこへでも入ることができたのです。

特に国民の人気を集めたのは、闘牛Tの方でした。不死身の牛として、まるで神様のような扱いを受けていました。やがて、闘牛士Mは、「あいつはただの牛じゃないか!そうさ。ただの牛なんだ。俺がいてこその闘牛ではないか!」と闘牛Tの人気に嫉妬するようになったのです。そして、ついに闘いの最後に禁断の、とどめをさしてしまったのです。

闘牛Tの死亡は一気にスペイン国民に知れ渡りました。ショックのあまりに心臓発作を起こして亡くなる人が続出しました。スペイン国営放送は番組予定を変更して闘牛Tの追悼番組を毎日放送しました。「スペインは偉大なる財産を失った」と。

そして、当然ながら国民の闘牛士Mへの怒りは頂点に達しました。闘牛士Mは、常に誰かに命を狙われるようになりました。家は放火され、外を歩いていれば車にひき殺されそうになり、もう国外へ脱出する以外に生き延びる方法はなくなったのです。

一日も早く、スペイン国民に笑顔が戻ることを願っています」

とまあ、こういうことらしい。ちなみにオッタは闘牛Tが殺される瞬間をVIP席で観戦中に目の当たりにしたとか。



注:この話はフィクションです。くだらなくてごめんなさい。。。。