「ビートルジュース」以来の特撮ファンタジーコメディーの傑作といえるんじゃないでしょうか。

改めて見ると「ロジャー・ラビット」あたりから蓄積されてきたアニメと特撮の融合の一つの到達点を見ている感じがします。

「ディック・トレーシー」の色使い、「ビートルジュース」の怪人暴走ぶり、「ジキル博士とハイド氏」の二重人格の相克、変化の痕跡は「シンデレラ」、ドラマ的には麻薬中毒のメタファーでもあり、人の二面性の象徴でもある、物語の神話的要素がここまでギュッと詰まっている作品にはなかなかお目にかかれません。

ジム・キャリー演じるスタンリーの気弱さとか、常に飾り物として扱われてきた、ティナ(キャメロン・ディアス)の、虚飾と裏腹の孤独とか、少し心理描写としては軽いですが、最後にはよかったなぁと思えるストーリーです。何と言っても贅沢な音楽や振り付けがそれを支えているので、細かいところがどうでもよくなってしまうという。

マスクに最初圧倒されたとはいえ、その裏側の本当の姿に惹かれた、というところが、本当のメッセージなんでしょうね。