「マニカルニカ ジャーンシーの女王」を見た。1957〜58年のインド大反乱の女性指導者ラクシュミ・バーイーが主人公。
 
インド映画特有のミュージカルノリの陽気な部分もあるけれど、当時のインドの独立への渇望と、民衆と共に生き愛された女王の生涯を重厚に描いている。
 
これはインドの歴史の映画であるとともに女性の歴史の映画でもあって、ラクシュミが宮廷での女性の振る舞いのタブーをいかに破って指導者としてのカリスマ性を獲得していったか、という、比類なき戦士、母、寡婦、そして女王の物語となっている。
 
きのうコナン・ドイルのドキュメンタリーを見たばかりで、ドイルは従軍して医師として、そして記者としてイギリスの立場でものを語っていたわけだけれど、その真裏から、イギリスからいかに東インド会社を通じて傍若無人に振る舞っていたか、ということをこれでもかと描いている。
 
冒頭で面白いのは、「信仰・国家・地域を傷つける意図はない」「動物は虐待していない」「ドラ・馬・ゾウはCG」「お酒は身体に悪い」と、断り書きのオンパレードで始まることで、一口にインドといっても受け取られ方は地域によってさまざま、ということも意識しているのだろう。
 
すごく面白かった反面、独立心と表裏一体の愛国心・宗教心に火がつくことで、簡単に武装蜂起に結びついてしまう、反応の速さについては複雑な感覚も持った。
 
戦闘シーンは、ちょっと「300」も思わせる、CGと現代的なテンポのよさもあって飽きさせない。剣技については当時のインドの剣術を参考にしているのだろうか、舞のような優雅な動きで、手首の返しに特徴があるように思った。
 
あと、この映画で面白かったのは大砲の音で、どのくらい考証しているのかわからないけど、防弾の発射と着弾に金属の重みを感じさせる要素がある。ズドンという重みは他でも聞いたことがあるけど、金属感は初めてだった。
 
インド映画だけど歴史映画であることで、ボリウッドという以上に「アジア映画」であることを意識させられた印象。音楽の使い方なども、中国の王朝ものドラマを連想する要素がある。イギリス人を演じる俳優の演技も、大河ドラマに出てくる外国人感がすごく強かった。