映画でなくテレビシリーズですが。

 

スーパー!ドラマTVでシリーズを一気に放送していたのでまずファーストシーズンを見ました。クリエイターはスティーヴン・ボチコといって、「刑事コロンボ」にはシリーズの初期から脚本で関わっていた人です。2018年に白血病で亡くなったそうで、このシリーズが実質的な遺作と言えるようです。

 

シーズン全10話を通じて一人の殺人犯を追う、というのが今までよく見た1話完結ものの刑事ドラマものとは違うところで、「HOMELAND」や「24」などの影響もあるんでしょうか。見た感じのタッチも、いかにもかっこよく描きますよ!というのとは少し違って、刑事の部屋や取調室も描きこまれた、というよりはどこか雑然とした感じ。日常の猥雑さに近づけた印象があります。

 

事件そのものは、一人の麻薬中毒患者が死んだことから発展し、それがアップルソンという飛ぶ鳥を落とす勢いの新興コンピューターソフト会社のCEO、エリック・ブラントに結びつく。捜査を始めるヒルディ。だが彼にはアリバイがあって、彼の警備スタッフには刑事たちの大先輩がいたりして、というあたりが伏線に。

 

事件そのものはどちらかというと地味で、逮捕から裁判の過程、そして脇道として証人の少年の家庭を巡るいざこざに巻き込まれて発砲事件を起こしてしまうヒルディの問題、そして冒頭ではテリーの妻が病死するなど、さまざまな出来事を交えて伝えていくスタイル。

 

途中から、これはもしかしたら想像もしなかった急展開があるのでは?と思っていたら、思いの外終盤は犯人が次々に裏切られたり、カンタンに自白証言がとれたり、と急転直下解決に向かいます。この事件のレベルならば、コロンボなら1話で描ききるんじゃないかなぁ、と思ったりもしましたが、まあ、人間関係の展開次第では、これはうまく転ぶやり方なのかもしれません。