前作では主人公グレイシーの変身の過程そのものが楽しめたので、そこの成功を前提にしてしまうと同じ繰り返しではダメ。その制作の悩みのプロセスがそのまま出たような作品になりました。

グレイシーはすっかり有名人になり、FBIの極秘捜査の途中でも町で声をかけられてしまうような存在に。現場では迷惑をかけるということで、マスコミ対応の顔になることに。10か月のトレーニングを経て、すっかり板についてきたころ、ミス・アメリカになったシェリルとその付き添いのスタンが誘拐される。

マスコミ対応でラスベガスに派遣されたグレイシーとボディーガード役のサム。サムはことごとくグレイシーと衝突。FBIのラスベガス支局が捜査を進めるけれど、グレイシーは直感で単独行動をとり、手がかりを得るけれども支局と対立、追い返されることに。しかし、その過程で支局の若手ジェフとサムの協力を得て、アトラクションの海賊船の船底で沈む寸前の二人を助け出す。

衣装が引っかかって船底で溺れる寸前のグレイシーをサムが救い出し、新たな友情が芽生えてめでたしめでたし。

肝心の犯罪部分がとってもしょぼくて、借金の取り立て人と前科者の兄弟の考える身代金事件なので大雑把。これでよく後半まで引っ張れたものだと思いますが、要素としてはコスプレショーでティナ・ターナーになりきったり、老人ホームに潜入したり、見た目で楽しい部分はたくさんありました。

FBIの広報としての役割が少し板についてきてお高くとまった感じのグレイシーが、これではいけないんじゃないか、と懐疑に陥るあたり、相棒のサムとの感情的なもつれ、前半に少しもやもやする部分が後半解消されてきて、ラストではサイン会で軽くあしらっていた小学生の女の子の授業に飛び込みするあたり、ハートウォーミングでちょっと泣けました。「人の受けを狙って自分を変えることなんかない」という、シンプルだけど大事なメッセージを伝えていました。

スケジュールの都合かもしれませんが、前作でいい仲になったフランクが全く登場せずに一方的にグレイシーをフることになったのはちょっと残念でしたが。