オープニングクレジットで、まず「制作:マイケル・ダグラス」と出た時点であちゃーとなったのですが、その後にロバート・ゼメキス、アラン・シルヴェストリと続くこの豪華さ。それもそのはず、ゼメキスはまだ「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で大ヒットを飛ばす前。彼の閃きある演出がなければ、この映画は大惨事になっていたに違いありません。
ストーリーとしては、「インディ・ジョーンズ」路線かな、と思わせて、そのはるか手前でじたばたする感じ。姉を人質にとられた有名ロマンス作家が、誘拐犯との取引に向かう途中に山中で迷い、偶然行き会わせた風来坊に救われての逃避行。姉を救う手がかりの地図をめぐって、さまざまな悪党が行き交い、風来坊ジャックも信じていいのやら?というところだけでヒッ張る感じ。
最終的には悪党はやっつけられて、お尋ね者のジャックは姿をくらますけど、最後には…。というありがちなめでたしめでたし。今回の冒険もちゃっかり小説に仕立てて、大ヒット間違いなし。
小説の世界では大成功しているけれど、現実世界ではいい男とめぐり合えない男運の悪い作家が、最初はただの嫌な野郎だと思っていた男を少しずつ好きになっていく、という仕立ては悪くなかったと思うのです。それがマイケル・ダグラスでさえなければ。
マイケル・ダグラスって、何か真情を表す、というのが根底的に苦手な感じで、なにをしても嫌味だったり、裏がありそうだったり。後の作品のイメージからだけではなく、役者として根本的にそういう感じを持っているんじゃないかと思います。だから、やることなすことにあまり共感を呼べない感じ。
キャスリーン・ターナーは、若いころはこんな感じだったのか、と後のハードなアクションもこなすデキる女のイメージで見ると新鮮で、いまのロザムンド・パイクを匂わせる部分もあります。結構かわいいと思いました。
ダニー・デビートは、本来の彼の持ち味からすると、いま一つ魅力を発揮しきれていない感じはしますが、それでもその存在で作品全体は救われているでしょう。
