「SF/ボディ・スナッチャー」をCSでやっていたので久々にちゃんと通して観た。これは1978年版で、1956年のドン伝記映画シーゲル監督の映画「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」のリメイク。最初に観たのは大学生の時だったかな。1993年の再リメイクも劇場で観た。

舞台がイギリスだ、と思い込んでいたけど、実際にはサンフランシスコ。

主演のドナルド・サザーランドが若い頃はジャック・バウワーみたいにかっこよかったっけか?と注目してみたけど、やっぱりドナルドはドナルドで、少しのったりとした、「バックドラフト」の放火魔をそのまま若くしたような、アクションの似合わない俳優だった。他にジェフ・ゴールドブラムが売れない詩人という役で出ていたり、レナード・ニモイが精神科医だったり。

画質は、これでもHD?と思うもので、カメラが手持ちだとPALからの変換みたいなブレが出たり、走ってる時に人物周辺の背景がモザイクっぽくなったりするけど、中身は面白い。

主人公が衛生局の人間というのも今日的な設定。周辺の人間が少しずつ植物人間に置き換わっていく、という恐怖を、ジワジワと、救いなく描いてゆく。あまり理屈とか説明がなくてもお話というのは語れるんだなぁ、とこういう作品を見ると思う。

身近な人間が変わってしまった、と思うことは主観的なことで、第三者にはその感覚が共有できない、という人間心理に着目したのはやはりすごい。

今日的な対人関係のことにも思えるし、感染症対策という観点からも共感できる。たぶん、これが作られた時代には、共産主義へのアメリカの極端な拒否反応も投影されていただろうと思う。