インドの教育事情をどの程度正確に描いているのかは知りませんが、工科大学に進学してエンジニアを目指す?若者3人を主人公に、家庭環境と貧困、親子関係と将来の夢、学問と就職、など若者ならば誰もが経験する矛盾や挫折を描いた超大作ミュージカルコメディーです。

一番の主人公と言えるのがランチョー、その彼の不思議な魅力と、ちょっと謎めいた正体をめぐって、学生時代とその10年後を行ったり来たり、そしてそのランチョーの恋物語でもある、という仕立てです。

学長が終始競争で相手を蹴落とせ、という時代の矛盾を背負った存在ですが、息子を事故で亡くしたという過去もあり、その真相が後半明かされることで大きなターニングポイントともなっています。そしてよりによってその学長の娘がランチョーの恋の相手にもなるという皮肉。

学生時代を通じてランチョーにバカにされた優等生君、10年後にどっちがえらくなっているか勝負しよう、とチャレンジするけれど、本質は人に使われやすい便利な機械にしかなっていない。ランチョーは常に学問の楽しさ、仕事のクリエイティビティーとはなにか、を追求して結果はあとからついてくる、という主張。その親友二人は経済的な境遇や親の期待から現実に迎合せざるを得ない、とあきらめたような立場。それが学生時代を通じてどうお互いに刺激し合って変わってゆくか、というのが見どころです。

ライバル役の学生がアメリカザリガニの柳原さんそっくりだったり、ランチョーがテツアンドトモのテツさんにそっくりだったりして、親近感がわきます。

音楽も楽しく、筋も壮大にバカバカしく楽しく、そして泣かせてくれます。