マット・デイモンらしさがあるのかないのか、ちょっと微妙な作品ですが、一応ヒューマンな部分や未来的ディストピアなど世界観を作っての大作になりました。
マックスとフレイは幼なじみ同士、人口が増えすぎてスラム化した地球にすむ孤児のような存在。富裕層は地球を脱出して人工宇宙ステーション「エリジウム」で幸せな暮らしを。
一方、そのエリジウムでは国防長官デラクール(ジョディ・フォスター)が野心に燃えて、官僚的な政治に明け暮れる現政権を転覆しようと狙っている。
ある日、マックスは職場での事故で致死量の放射線を浴び、あと5日の命と宣告されてしまう。助かるためにはエリジウムに潜入して先進治療システムを利用する必要が。そのために地下革命組織の知り合い、スパイダーに力を借りなければならない。一方スパイダーは、そんなマックスを利用して政府の機密情報を取り出そうとする。その為に狙ったのは、エリジウムのシステム設計者カーライル(ウィリアム・フィクナー)だった。
ところが、デラクールは密かにカーライルに自分が国家元首になるようにシステムのデータを書き換えさせていた。襲撃に成功したマックスはそのデータを自らの頭脳にダウンロードするが、それが原因でデラクールの差し向けた刺客クルーガーに付け狙われることに。
負傷してフレイに助けを求めたことで、フレイと彼女の白血病の娘までクルーガーにさらわれてしまう。
マックスはクルーガーに投降してデータと引き換えに自分の延命を試みるが、手榴弾の暴発からエリジウムでとらわれの身に。潜入してきたスパイダーとともに、最後の大逆転をねらう。
結局、データをダウンロードすることで自らは死ぬが、引き換えに地上の市民全員がエリジウムの恩恵に預かれることになり、フレイの娘も助かるハッピーエンド。
どこか、自助を名目に庶民を突き放す現代の国家を揶揄している話だなぁと思いましたが、あんな宇宙ステーション、どうやってエネルギーや資源を調達して維持できるのか、ちょっとナゾでもあり。あと地球上のテクノロジーが今から百数十年後の世界にはとても見えないと思ってしまいました。
あの医療システムの先進ぶりはただごとではなく、早く実現してほしいぞ、と思うのですが、もう不老不死が実現できちゃってるんじゃなかろうか、という世界の先に待つものはなんなんでしょうね。
ジョディ・フォスターは、硬質で冷たく、打算的だけれども自分なりのビジョンを持っている野心家ぶりを存分に発揮しました。ウィリアム・フィクナーは、クリストファー・ウォーケンのテレビ版分身、という感じがしていたのですが、ちょっと早めに死んでしまって残念。
