密室下の乗客消失という、ありがちなテーマですが、けっこう真っ正面から描いて、限られたリソースやセットの中では、そこそこリアルに描いていると思います。

すごい美男美女が揃ったわけでもなくて、キャラクターに共感できる度合いはそれほど高くないのかもしれませんが、経営がぎりぎりのローカル航空会社ならではの人間関係と乗客の暴れ具合とか、演技の質も含めてけっこうリアルにできていたと思います。

後半になって、乗客の一人が持っていたスーツケースから事件の糸口が見えてきたのですが、あの客はスーツケースを持っていたならとっとと使えばよかったのに、という疑問はありますが、なかなか実体のわからない悪霊、という意味ではスリルとサスペンスはありました。

中でも「死も失敗する」とか、「死はユーモアが好きだ」とか、ほかではあまり聞かない気の利いたセリフがいくつか聞けて、短いのもあって、気楽に見られました。

ローコストのためなのか、ちょっと気になったのは音声のクオリティーで、ダビングした音声の一人一人のセリフの切れ目に「プツッ」というノイズが入っていて、ミキシングエンジニアの仕事の質はいま一つ、音楽も編集次第ではもう少しスリリングにできたかもな、と思いました。