一度見たあと、ディテールを忘れたのでもう一度見直してみました。

記憶にあるよりも重苦しくて、三部作ある中の一作目としても、ちょっと爽快感が少ないな、と想いながら見ました。

一番簡単にあらすじを説明しようとすると、指輪を捨てようとするけどなかなか捨てられない話、ということになります。

指輪そのものの悪魔的な魅力や力が、リアルタイムに発揮される部分はなくて、その辺は音響やエフェクトに任せた感じですかね。通してみていると、指輪に惹かれる人物の描写はそのまま麻薬中毒患者だと思って描いているんじゃないかと思います。

あとは、種族ごとの分断や偏見は世にある人種・宗教・障害に基づく差別観と対をなしているんでしょうね。

イライジャ・ウッドが、ちょっと現実感のない整った瞳の大きな顔立ちで、やはりこの映画のはまり役なんですが、真剣みがありすぎて、全体を通して彼の深刻さにつきあっていると、ちょっと疲れてくる部分があります。「ウィロー」のようなお気楽さがもう少しあったらなぁ、と時々思いました。

ヴィゴ・モーテンセンもその意味では、ちょっとまじめ一辺倒な感じもあります。オーランド・ブルームが注目され始めたのもこのシリーズですが、今見ると演技の質はちょっと単調で、シリーズ終了とともにあまり活動が聞かれなくなったのも、そういう要素が関係あるかも、と思ったりしました。

リヴ・タイラーが、ケイト・ベッキンセールじゃないか、と思わせる正統的な美女になっていてびっくり。ケイト・ブランシェットは敵か味方かという二分法では解釈できない奥深さを感じさせました。「マトリックス」のミスター・スミスのヒューゴ・ウィーヴィングも味わい深い。ドワーフのギムリ役がジョン・リス・デイヴィスだったの、あとで気づきました。