「ロボコップ」の流儀で体の自由を失った主人公の復讐譚。
ちょっと近未来のいろんなことがオートメーション化された世界で、昔気質のアナログなカーメカニックを職業にしているグレイ。コンピューター会社に勤める妻と一緒に暴漢に襲われ、妻は死亡、首から上からしか動けない体に。
そんな彼に手術を申し出たのが妻の会社のライバル社のトップ、エロン。ステムという新しいコンピューターチップで脳と体の接続を取り戻し、普段は車椅子生活を続けながら妻の殺人の真相を追う、という話。
ある日いきなりステムから話しかけられてから、あんまり自分の活動の痕跡を隠そうという意志もなく、次々に残虐で効率的な方法で襲撃犯たちをやっつけていく、ちょっとスプラッター気味の展開。
エロンも、最初は勝手な行動を取るステムをシャットダウンしようと努力したようなのだけど、ハッカーに遠隔操作できないよう改造してもらってからはステムが体の主導権を握るように。
結局、狙いは妻ではなく、ステムの移植先としてグレイを狙った意図的な襲撃だったことが分かり、手術もエロン主導ではなく、ステムの脅迫で行ったことだったと。真相がわかったところでエロンも、後を追って真相を突き止めた刑事も射殺し、グレイの体をステムが乗っ取って終わり。グレイの意識は事故の後も妻が無事だったという幻想に生き続けるという完全なバッドエンド。
冷静に考えるとステムから主導権を奪う方法はエロンにはいくらでもあったはず、とか、コンピューターにしては不合理で遠回りな行動が多すぎるとかいろいろあるんですが、あまり力を無駄に使わないコンピューター的カンフーアクション、というのは「マトリックス」のラストの方でちらっと見て以来久しぶりに見た感じです。
「人造人間キカイダー」「仮面ライダー」で育った世代には、体を機械に乗っ取られる、というモチーフは割にDNAに刻み込まれている感じがあって、その意味ではびっくりするほどの驚きはなかったですが。キャストにはあまり印象に残る人がいなかったのですが、それもこういう作品のよさではあります。
