嫌な奴に見えるんだけど、その裏にはちょっと人情にもろいヒューマンなテイストがある、そんな役柄が本当によく似合うビル・マーレイ。ちょっと歳をとったけれども、そんな彼のクレイジーさと人情味が味わい深く見える一品。

昔ちょっと売れたけど今ではすっかり落ちぶれた音楽マネージャーのリッチー・ランツ。ちょっとしたきっかけでアフガニスタンのキャンプ地を慰問に訪れるツアーの話に乗ってやってきたはいいけど、唯一のタレントに金とパスポートを持ち逃げされ、ドツボに。

そのうち、怪しい二人組に簡単な仕事だと騙されて田舎の村に武器弾薬を届けに行く。そこで夜中に聞こえてきた歌声。才能を見抜く耳はもっているリッチー、彼女をぜひアフガンのコンテスト番組「アフガン・スター」に出そうと思いつくが、その娘サリーマ、実は村長の娘だった。女性が歌を歌うなんて、と偏見がまだ残る土地、踊ることもヒジャブを外すこともタブー視されている風潮の中で、リッチーはプロデューサーに掛け合い、極秘で準決勝に彼女を出演させることに成功する。

だが反発も強く、父親は彼女を村に連れ帰る。一方村長が麻薬取引に消極的なことに不満な一部が武器を持って村を制圧しようとしていることもわかり…。

結局、不満分子は一掃され、銃撃で負傷したもののリッチーは無事決勝でのサリーマの活躍を見届けることができた。

リッチーがいろいろ自慢しているマドンナ発掘話とか、眉唾で聞いていたらやはり途中で全部嘘だったことを白状したり、ちょっとスティーヴ・マーティンの「奇跡を呼ぶ男」を思わせるところもありました。

ボディーガード役でブルース・ウィリスが妙に中途半端な活躍ぶりだったり、タクシー運転手が急に重要な役どころになったり、描き方が不満なところはあるし、アフガニスタンの現状や現地の文化に対する理解やリスペクトがどれだけあって描いているのか、あまりよくわからないところではあるのですが、サリーマとリッチーの交流ということに関してはなかなか楽しいものがありました。

使われている音楽がそれぞれに時代だったり、リッチーの若き日を思わせるもので、それは楽しかったです。