DVDで借りて見たので、予告編に出てくるのがB級、C級っぽいものばかりで大丈夫かな、と思ったけれど、見てみたらこれは名作でした。
時は中世、北欧の森。一攫千金をねらって遠征の旅に出た父親の留守を守る長女ルナ。祖父と母、そして妹のボティルドと一緒に住んでいる。父親はもう帰って来ないんじゃないかという不安と共に母の様子がおかしくなり、ルナとの関係にも亀裂が。
そんなある日、狩りに出たルナは一人の負傷した戦士トールフを救う。母は反対するが介抱の結果意識を取り戻し、実は父と途中まで行動を共にしていたのだとしる。ルナたちの家は合流地点だったと。
やがて父はもどってきた一同が喜んだのも束の間、様子がおかしい。遠征の途中で死者の墓を暴いて手にした財宝が原因らしい。やがて家族の周りにも怪現象がおき始め、父は財宝を持って出ていってしまう。
そしてまもなく家の周りを敵が取り囲む。どうやらバイキングが術を使って死者を操り襲ってきているらしい。祖父が家でおとりになる間一同は逃げ出すが、父の土産の宝石を飲み込んだボティルドはバイキングの槍に貫かれて死んでしまう。
父までもゾンビにされ、矢の狙いをルナに定める。追い詰められてもはやこれまでかというときに、幼いころから親しんできた歌を歌うと、父の魔法が解け、バイキングを倒すことができた。
ちょっとだけ、作りがアニヤ・テイラー・ジョイの出ていた「ウィッチ」に似てますが、ああいう北欧宗教の中世の雰囲気がよく出ているような気がします。主流はキリスト教じゃない時代なんですね。
いかにもの美女じゃないんですが、ルナ役の女優さん、とてもいいです。救ったトールフに戦斧の扱いを教わったりして次第にそれまで見なかった世界をしるルナの心の開き方、初めはいさかいばかりだった母との和解、帰って来た父親と心から打ち解けられないもどかしさ、など、ルナの少女としての成長が繊細に描かれているのがとてもよかったです。
あとは森の風景が非常に印象的に使われていて、暮らしを守ってくれるはずのものだけれども一度暗くなるといっきに人間に襲いかかってくる強大な力として作用する。人間のちっぽけさがよく伝わる映画だったというか。
基本的にはスウェーデン・アメリカの合作なんでしょうかね。言葉は全部英語だったのが不思議ですが、ウィキペディアはスウェーデン語版しかありませんでした。ヴァイキングを、こういう呪術的な悪鬼として扱うのは文化的にどうなのか、ちょっとよくわかりませんが。
