ニコラス・ケイジなのでなんでも濃いめの味付けに見えるんですが、これはあんまりくどすぎず、ちょっと落ち着いた演技で共感しやすかったですかね。
高校教師で文学専攻のウィルとオーケストラのチェリストのローラは熱々カップル。ある日ローラがレイプ被害に。病院で嘆くウィルに男が声をかけてくる。犯人は出所したばかりのレイプ犯、仕返しがしたければ言ってくれ。あまりのことに最初は断るが、苦しむ妻の姿を見てつい頼んでしまう。
するとその晩のうちにレイプ犯は射殺され、その証拠に妻のネックレスが届く。複雑なウィル。半年後、おかしな依頼が。写真の親子をつけろと。そしてある男が現れるかどうか知らせろと。言われた通りにはするけれども男は現れず、その日はそれで終わり。
ところがやがて、バスである場所に行き、男を歩道橋から突き落として殺せと指示が。いやだと言って最初は断るが、妻の安全を脅かされ、いやいや現場に。すると相手が襲いかかってきて、身を守っているうちに相手が落ちてくれる。
しかしやがて警察がやってきて尋問されるけど、「うさぎは跳ねる」という言葉をきっかけに警部が逃がしてくれる。それをきっかけに死んだ男の素性を確かめると新聞記者だったらしい。葬式で彼のしていた記者証を手に入れたウィル。どうやら法の外で私的制裁をおこなっていた秘密組織のことを探っていたらしい。彼のレシートからしょっちゅう通っていたガソリンスタンドを訪ねてみると、ボートを倉庫にしまっていたらしい。調べてみると、取材途中で組織に殺された男のインタビュー映像を発見。その他の資料から、友人のジミーも組織の一員だったことが発覚。問い詰めるとローラがレイプされたときに組織の力を頼んだと。
組織のトップ・サイモンを呼び出し無罪の証拠を要求、しかし相手も隠れていたローラをジミーを使って捕まえ、あわや始末されそうに。ギリギリのところでジミーが裏切って銃撃戦。最後は護身のために銃を習っていたローラがサイモンを射殺。そこに駆けつけた警部は組織の一員として事件を適当に片づけられると断言、実際その通りに。
ウィルが新聞社に証拠のデータを預けに行くと、受け取った記者は組織の合言葉を不敵につぶやくのだった…。
組織に属する警部役はザンダー・バークレー、「24」のジョージ・メイソン役が印象に残ってます。サイモン役はガイ・ピアース。ローラ役のジャニュアリー・ジョーンズは「アンノウン」でリアム・ニーソンの奥さん役をしていましたかね。
平凡な人の正義感を増幅すると、こういうことになっていく、という、ネット炎上時代の人々の感覚を実現したような話でしたかね。一人一人は大したことはやってないつもりでも、悪意というのは確実に積み上がっていくし、それが大義だと勘違いする人間が出てくると暴力は正当化されてしまう。法治国家はこうして骨抜きにされる、という予言のような話なのかもしれません。
最も文学的で、非暴力的なウィルがそういう感覚に染められていく、守りたい対象だったローラさえも最後は自分で手を下す快感に身をゆだねる、という点が、この映画のハッピーエンドとは言えない核心なんじゃないでしょうか。結局サイモンの上司は誰だったのかも明かされないし、実際にはなにも解決はしなかったんですよね。
