「キングコング 髑髏島の巨神」との世界観的つながりがあるとは知りませんでしたが、途中でいろいろと言及があるのでああそうか、と思ったような次第です。
2014年版の「ゴジラ」の設定を直接受け継いでいて、直接登場しなかったけれども、サンフランシスコが襲われたときに息子を失った設定の科学者ラッセル夫妻が主人公。離婚してしまい、娘のマディソンは母親エマと暮らしている。
エマはモナークという巨大生物を研究している組織でモスラの幼虫を孵化させているところ。開発した装置「オルカ」で巨大怪獣の行動をある程度コントロールできるところまでこぎ着けた。そこに武装集団が襲撃、エマとマディソンは連れ去られてしまう。父親のマークのところに芹沢博士が来て、一緒に探そうと。同時にモナークが発見して観察していた多数の怪獣たちが目覚めさせられ、暴れ始める。背景にいたのはれいの武装組織。環境保護が過激化したテロリストグループらしい。
南極のモナーク基地へたどり着くと、エマとマディソンを発見、だがなぜかエマはマークを拒絶し、怪獣「モンスター・ゼロ」を目覚めさせる。首三つ。そう、正体はキングギドラ。ゴジラと戦った末に行方をくらます。
エマは確信犯的に、テロリストと協力して、怪獣を目覚めさせ、地球を自然の状態に戻そうとしていたのだった。ショックを受ける娘マディソン。その後もメキシコでラドンを目覚めさせ、街は大混乱。モナークのチームはラドンとキングギドラを戦わせる作戦を立てるが、ラドンでは敵わず。その後ゴジラも駆けつけて戦っているところに軍が新爆弾「オキシジェン・デストロイヤー」を使う。しかし、キングギドラはこれを食らっても平気。逆にゴジラは死んでしまう。
繭を作っていたモスラは羽化。どうやらゴジラとは意思疎通ができるようだ。っていうか、ゴジラは生きていた!どうやら回復途中らしい。居場所を突き止めて、回復を早めるために水爆をプレゼントしよう。だが近づいていく途中で発射装置が故障し、誰かが片道切符で起動しなければならない。芹沢博士がここで自己犠牲。最後の瞬間、防護服も脱ぎ、ゴジラと対峙する。人間とゴジラとの無言の契約が成立した瞬間。
マディソンは母親の行動に我慢できず、オルカを持って組織を抜け出しボストンの球場に。そこで怪獣たちをなだめる音声を流す。だがそこにキングギドラがやってきてスピーカーを破壊。マディソンがやられそうになったとき、復活したゴジラがやってくる。モスラも加勢、ギリギリでやっつける。そこに駆けつけたキングギドラの子分たちはみんなゴジラに恭順の意を示す。新しい王の誕生。
結局、エマも自分の本当にねらった自然の復活ではなく、人間が怪獣に滅ぼされかけるような事態を招いてしまったわけで、最後は自分を犠牲にしてキングギドラを油断させてゴジラが止めをさした、という形。芹沢博士といい、自己犠牲のベタなモチーフ二連発でした。
怪獣たちが戦闘している間に、本当に足元でうろうろしている人間がたくさんいる構図、ウルトラマンを見慣れている立場からすると怪獣リテラシーがなさすぎじゃないか、とか思ったりしますが、絵としては面白かったです。
マーク役のカイル・チャンドラーは、髑髏島じゃない方のピーター・ジャクソンの「キングコング」にチャラい俳優役で出てるんですね。エマ役のヴェラ・ファーミガは、初めて見たのは「トレイン・ミッション」のナゾの女役でしたかね。今回はちょっとキャラクター設定が難しかったような気がします。モナークの双子設定の科学者二人をやったのはチャン・ツィイー。ことごとく失敗しちゃう軍の司令官はデイヴィッド・ストラザーン。モナーク側の軍事責任者フォスター大佐はアイシャ・ハインズ。テレビドラマ「9-1-1」のヘンリエッタ役ですね。
音楽は、伊福部昭さんのゴジラのテーマ、古関裕而さんのモスラの歌を使っていて、オリジナル世界にはそれなりに配慮していたと思います。モスラが成虫が糸を吐くのはちょっとどうなんだろうと思ったり、翅の鱗粉成分が少なめだなと思ったりしましたが、ゴジラとタッグを組んで戦うところは胸熱でした。
