キャサリン・ハイグルって女優さん、「グレイズ・アナトミー」でブレイクしたそうなんですが、名前を聞いた気はするものの、あまりこの作品で見た!という印象はない人でした。今回は制作総指揮にも入っているので、どうだろう、と思ったけど、なかなかの出来じゃないかと思います。

バウンティ・ハンター物、というと名作「ミッドナイト・ラン」があるので、そこを目標にするとちょっとハードルが高すぎるわけですが。

ステファニー・プラムはメイシーズの下着売り場の仕事を6カ月前にクビになって、実家に出戻り、車は差し押さえられてやぶれかぶれ。いとこの斡旋でバウンティ・ハンターの仕事を紹介されます。即金でおいしい仕事がほしい彼女が目にしたのは5万ドルの賞金が入る殺人容疑の警官を捕まえること。彼はなんとステファニーの高校時代の元カレだった。

初めは全くのド素人として始めるが、腕利きの先輩レンジャーの手ほどきを受け、次第に上達。

殺されたのは麻薬の元締め、証人の娼婦が行方不明になっており、足どりをたどるうちに話を聞く証人がことごとく殺されたり行方不明に。元カレのモレリは最初は彼女を初めは邪魔者扱いして相手にしないが、次第に彼女の助けを得て、自分が嵌められた事件の真相を探ろうとする、という流れ。

結果、彼女が最初の方にさぐりを入れたジムのオーナーとボクサー、近所の魚屋がみんなグルだったと分かり、犯人は射殺した上、モレリは警察に引き渡すことができ、めでたしめでたし。

謎解きの話としてはたいしたひねりがなく、最初から怪しいなと思った人間がやっぱりそうだったか、というオチなので、事件物を見慣れた人には物足りないかもしれないのですが、秀逸なのは人間関係の描写とキャストの魅力。

ステフのおばあちゃん役にはキャリー・フィッシャーのお母さん、故デビー・レイノルズ、最終的に犯人のアルファ役にジョン・レグイザモなど手堅い人を固めて、家庭周辺のゴタゴタぶり、聞き込み中に出会う娼婦たち、そして惹かれながらも仕事とは一線を引くステフとモレリの関係、プロフェッショナルに影の役で甘んじるレンジャーなど、それぞれの立場に対する共感にあふれた描写。監督が女性なのと関係あるかもな、と思うのですが、どぎつくなく、ユーモアにあふれ、会話からも主人公の心理がよく伝わる快作だなと思いました。

 

いとこのヴィニー役のパトリック・フィッシュラーという役者さん、イタリア系ユダヤ人ぽい、個性的な顔だちで、他にもいろいろ見た気がするのですが、「ツイン・ピークス2017」にも出ていました。いろんな役柄ができる人ですね。