作り方からすると信じがたいほど古めかしい、心理スリラーでした。序盤の会話からしてもう、ちょっと標準を下回る出来だ、というのはわかりましたね。台本が平板で人物の背景を全く感じさせない。
序盤からクリスティーナ・リッチ演じるローレンが悪夢にうなされたりフラッシュバックに襲われるところで始まり、どうも子どもを亡くしたことがうかがわれる。かなり神経症的な様子でカウンセリングにも通っている。夫のラッセルは引っ越して環境を変えようと。選んだのはよりによって超ハイテクの高級マンション。一体なんの仕事をしていたらそんなお金ができるのかな。
で、引っ越しが住んで住民との交流パーティーなど。しばらくすると、不思議な音楽(フォスターの「夢路より」)が流れてきたり、テレビが急に点いて支離滅裂なメッセージを流し始める。これは洗脳では?
ネットカフェで調べると掲示板での質問に答えて、潜在意識に働きかける研究があると。夫に言ってもとりあってくれない。最初は優しかった夫もローレンのあまりに不安定な様子にイライラし始め、再び入院させようとする。
そうこうするうちに地下の駐車場で拉致され、椅子に固定されて洗脳映像を見させられる。そこを助けてくれたのがネットの相談相手ヴァーノン。殺害指令を出されたマンションの女の子アリーを連れて逃げるが、潜在意識から彼女を殺せと指令を受けて…。
最終的に黒幕は引っ越しパーティーで話しかけてきた男だった。夫は騙されていただけで、独自の隠しカメラで真相を発見していた。ヴァーノンはローレンを助ける家庭で死亡。その後ローレンとラッセルは子どもを授かりめでたしめでたし、なのかな?というところで終わり。
いろいろと設定には厳しいものがあり、なぜわざわざあんな不気味なマンションを選んだのか、なぜ夫ラッセルは妻の話にちゃんと取り合わないのか、謎が多いです。どうも夫の携帯に連絡が入っていたあたり、やはり彼もぐるでは?と思われたりする部分もあるのですが、あれは思い過ごしなんだろうか。
軍事目的で洗脳するにして、一人は飛び下り自殺させたり、やってることが雑ですよね。
もともとが、夫婦のどちらにもあんまり感情移入できない作り方だったので、前半部分がとてももどかしい作品でした。