「なんとかアノニマス」というネーミングは、アルコールや薬物症の人たちが集まって自分の苦労を告白するグループのことで、その意味では「キラーズ・セッション」はうまい邦題だと思いました。
見ながら、ちょっと江戸川乱歩の名作「赤い部屋」を思い出したり、カットバックの使い方や音楽に「ユージュアル・サスペクツ」を思わせるものがあり、その意味ではテイストやねらったものは嫌いじゃないです。
冒頭からのゲーリー・オールドマンとジェシカ・アルバのかみ合わない会話とか、なかなか期待させたし、各人の告白はそれなりに聞けて、「殺人」ということの意味合いや殺人者の心理というものに対しては少しヒントやアイロニーがあったかな、と思います。
問題は後半で、侵入者の正体と狙撃された上院議員の乱入という大きな謎のカタルシスをストーリーから得られなかったことで、最後に大量虐殺のシーンはあったけれども結構無意味に残虐なだけに見えてしまったかなと。
CIAが背景にいようが、暗殺者は暗殺者なわけで、変にリアリティーを持たせようとしたことで、そもそも荒唐無稽でも許せたかな、と思っていたグループ・セッションの設定の面白さが台無しになってしまった気がします。
あと、ジェシカ・アルバがあれだけの登場で宣伝に使われているのはちょっとずるくて、せいぜい友情出演程度の扱いでした。
エンディングでゲーリー・オールドマンがやっていることが、全体に対して新しい意味づけをするものではなくて、結局最初に予想できた範囲を裏書きしているだけ、というのはかなり残念。
まあでも、ブラック・コメディーとしてはそのユニークさを評価してあげてもいいんじゃないでしょうか。