育児をテーマにしたスリラーの中では相当よくできている一本かなと思います。
まず冒頭に幸せなクレアの一家に知的障害のある黒人の青年ソロモンが派遣されてきたところから始まります。庭の柵を手入れしてもらったり、娘のエマと遊んでくれたり、段々といい感じで馴染んでくる。
クレアは妊娠中。新しい産婦人科医のところに行くと、どうもいやらしい意図があって触られまくり、声を上げたところ他にも同様の被害者が。社会的に追い詰められた医者は自殺してしまうという振り。その妻も妊娠中。クレアの幸せな暮らしとは対照的に夫の自殺によって追い詰められ流産。子どもが生めない身体に。
6カ月後、彼女はペイトンという名で身元を隠してクレアたちの家にやってくる。あとは、クレアに隠れて深夜に母乳をやったり、エマに取り入ったり、秘密を知ったソロモンを陥れてクビにさせたり。クレアの親友マリーンと夫が浮気しているかのように仕組んだり。間に立つクレアは段々追いつめられていく。
決定的な出来事は、不動産屋のマリーンが扱う物件の中に、産婦人科医の自宅があったこと。ついにペイトンの正体がわかる。それを告げに家にやって来たマリーンを、温室のガラスに細工をして殺してしまう。直後にそれを見たクレアは喘息の発作を起こし入院。
退院して家に帰って来たクレア。やがて親友の死の真相を探りに産婦人科医の家に。そこで彼女の搾乳器と子供部屋の内装を見てペイトンの正体を悟る。一度は彼女を追い出すが、夜になって彼女が反撃。夫マイケルを地下室で不意打ちし、クレアにも襲いかかる。エマの機転で赤ん坊を守り、ソロモンが窮地を救いにやって来た。最後はクレアがペイトンを窓から押し出し、ソロモンが作った柵の上に落ちて一巻の終わり。
序盤の運びから、ペイトンが犯人であることはもうハッキリしていて、彼女がどの程度のことを企んでいるか、ということだけを観る形になるので、最初はきついかな、と思いました。セキュリティーの観念も甘いし、身元もちゃんと調べないし、ちょっとしたことを相談していれば問題は起きなかったはずなのに、とも思いつつ、日常の機微に少しずつ取り込んでいって真綿で首を締めるように心理的に追い込んでいくこのやり方は恐ろしいなと思いました。
後半、不当な扱いを受けたソロモンが助けにきてくれるのが胸熱で、エマが赤ちゃんを隠すところも機転が利いています。ペイトンが盗聴に使っていた無線が攪乱作戦に使われるのもうまいなと思いました。
クレア役のアナベラ・シオラは、「ハード・ウェイ」くらいしか他に知らないのですが、なかなか好演。ペイトン役レベッカ・デモーネイは最近でも「リベンジ・リスト」「アイデンティティー」などを見てました。