スタローンが主役だと、他の細かいところがどうでもよくなって、みんな彼に忖度する、そんな俳優になっているような印象を受けた作品です。

マクドナルド(マシュー・モディーン)は、銀行強盗が仲間割れから失敗して、銃撃戦で負った傷が原因で記憶喪失になった服役囚。ある日、同房になった男から脱獄を持ちかけられ、見事成功。刑務所のナースと看守の一人もグルだった。

そして彼らはマクドナルドに記憶の戻る注射を脊髄に。どうやら銀行強盗の末に行方がわからなくなった2千万ドルの行方が知りたいらしい。

一方、スタローン演じるサイクス刑事の元にFBIも共同捜査にやってくる。いろいろと捜査方針が食い違う。

マクドナルドは次第に記憶を取り戻し、かつて勤めていたコンクリート工場にたどり着く。そしてコンクリート工場の中に金を隠したことを思い出す。サイクスの部下も一人たどり着くが、あとからやって来たFBI(実はかつて裏切った銀行強盗一味)に急襲される。サイクスの部下は死亡、マクドナルドを連れてきた男の一人も射殺される。この時点でマクドナルドの記憶は完全に戻り、彼を脱獄させたのが妻と子どもたちだったことに気づく(妻若過ぎ)。

部下の戦闘を電話で聞いていたサイクス、遅れてやってきて、FBI一味を一人ずつ容赦なく射殺。事情を察してマクドナルド親子が金と共に去るのを黙認して終わり。リゾート地でしあわせそうに過ごすマクドナルド一家。20億円あれば、家族3人で楽な暮らしができますね。

というわけで、かなり荒っぽい話で、サイクス刑事、事件解決したら金の行方も死んだマクドナルド息子の身元の処理も適当にできちゃうんですね。FBIの人間みんな射殺したのに。その射殺の仕方も一発必中とかじゃなくて連射で息の根が止まるまで撃ち続けるスタイル。刑事じゃなくて暗殺者モード。事件が終わったあとも殉死した部下を悼む様子も皆無。撃たれるのは弱いからだ、とでも言いたげ。

マクドナルドの妻も子どもも、記憶を戻させる薬、どんなに専門的な知識があったのか知りませんが、20%の確率で死ぬかもしれない薬をよくもまあ、躊躇なく打ちますね。そんなに金の在り処が知りたかったのか、あるいは記憶を取り戻させたかったのか。息子なのに警官相手に容赦なく発砲してたのも気になるし、父の健康を気づかう様子もなく薬を追加しようとする姿勢も疑問。副作用もなく無事に記憶がもどってよかったですが、もっと酷い事態になっていたかもしれない。

まあ、それでも、設定自体はまあ面白いなと思っていたのですが、展開したストーリーはちょっと期待を下回りました。

息子の一人、甘いマスクのルーカス役はライアン・グズマン。テレビシリーズ「9-1-1」の第2シーズンに登場したエディ役で活躍中。途中で殺されるサイクスの部下カーター役のコリン・エグルスフィールド、トム・クルーズを少し不細工にしたような顔で、何かで見たような気がしたんですが、出演作で思い当たるものはありませんでした。